Fibonacci数 について、その性質を少し紹介したいと思います。
で私の好きな素数は全ての桁がFibonacci数であり、各桁の総和=もFibonacci数だという話をしましたが、には他にも
・は以下の素数の個数であり、ももFibonacci数。が成り立つような例はでは
しか知られていない。
・は(重複を含めた)素因数の和が素数となるような最小のFibonacci合成数。
・がともに合成数となるような最小のFibonacci数。
などの性質が知られています。これらはささやかな性質ですが、今日おすすめしたい一押しの性質が次の定理です。
半素数であって偶数であるようなものを偶半素数と呼んでいます。この定理は「は連続する二つのFibonacci数の平均となるような唯一の素数」と表現することもできます。
証明には次の有名定理を使います。
この定理の一般化を以前紹介したことがあり、
関連するZsigmondyの定理は証明を紹介しています。Carmichaelの定理の証明は飛鳥さんの教科書Fibonacci数(定理2.3.8.)で読むことができます。
をの相異なる素因数の個数とします。
証明. 原始的約数の記事の命題よりかつであり、飛鳥さんの教科書の命題1.2.3.より
が成り立つので、の仮定よりがわかる。そうして、Carmichaelの定理よりはとの持たない素因数を持っているため等号を外すことができる。 Q.E.D.
証明. のとき:
のとき:
, は相異なる奇素数のとき: 補題1より
なのでがわかる。
以下、は奇素数とする。のとき: Carmichaelの定理より
なのでがわかる。
のとき: Carmichaelの定理より
なのでがわかる。
, のとき: Carmichaelの定理より
なのでがわかる。
, のとき: 奇数を用いてと書ける場合を考えれば十分。補題1より
なのでがわかる。以上の結果から主張が従う。 Q.E.D.
定理の証明. 飛鳥さんの教科書の命題1.1.14.よりFibonacci数が偶数であるための必要十分条件はがの倍数であることなので、補題2と合わせてが偶半素数であればしか候補がない。なので定理が成立することが確認できた。 Q.E.D.