8/24に投稿されたRosenのプレプリントでApéry数に関する次の美しい超合同式*1が示されています:
が成立する。ここで、はApéry数を表す。
Apéry数については
integers.hatenablog.com
を参照してください。
1980年出版の論文でChowla-Cowles-Cowlesはに対して
を示しており、今回のRosenの超合同式はCCCの一般化となっています。
この記事に証明を書きますが、どちらかというと自分用で、self-containedには書かれていません。
若干の数値例
有限調和和とWolstenholmeの定理
自然数に対して、有限調和和を
と定義します。は調和数です。
以上の素数に対して成り立つ合同式
をWolstenholmeの定理といい、16843:ウォルステンホルム素数、調和数、調和級数、オイラーの定数 - INTEGERSで証明しました(しばらく)。
証明では
を用いたことを思い出しておきます。
文献によっては
や、少し変形した
のことをWolstenholmeの定理と呼んでいますが、これらは実質的に同値です。
が成り立つ。
証明. 次のように計算できる:
Q.E.D.
また、とします。補題1より、
が成り立ちます。
より、
なので、③は①+②と同値であることがわかりました(実際はで全て成立している)。
よって、Rosenの超合同式は確かにCCCの超合同式の一般化を与えていることがわかりました。
Wolstenholmeの定理の一般化と思える次の命題は有名事実です:
証明
証明.
Q.E.D.
あとは補題2にを代入して補題1と掛け合わせれば手でも計算機でも計算できると書いていますが、実際にやってみましょう(は素数)。
補題2より
が得られます。よって、ならば命題より
が成り立つことがわかります。一方、補題1および命題より
がで成立します。従って(以下ずっと)、
ここで、
より
であるから、後は
を確認すれば終わり(これをに制限したものが実質的にWolstenholmeの定理)。例えば、Rosenの博士論文で示されている進関係式
を用いれば
が得られ、命題よりならば
が得られます。 これで、冒頭の超合同式が証明されました。