インテジャーズ

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数、特に整数に関する記事。

144:オイラーの冪乗和予想

144で思いつくのは27^5+84^5+110^5+133^5=144^5という式。これはEulerの冪乗和予想の反例として初めて発見されたものです。

Eulerの冪乗和予想

Eulerの冪乗和予想 (1769) n, kを自然数とする。
a_1^k+a_2^k+\cdots +a_n^k = b^kが自然数解(a_1, \dots, a_n, b)をもつのはk \leq nのときに限るであろう。

n=2のときはEulerの冪乗和予想は正しい。

n=2のときはFermatの最終定理に他なりません。これは1995年にAndrew Wilesによって解決されています。

反例

Eulerの冪乗和予想は実は正しくありません。反例が見つかっています。

27^5 + 84^5 + 110^5 + 133^5 = 144^5 (Lander and Parkin, 1966 k=5における最小反例),

2682440^4 + 15365639^4 + 18796760^4 = 20615673^4 (Elkies, 1986)

95800^4 + 217519^4 + 414560^4 = 422481^4 (Frye, 1988 k=4における最小反例),

(−220)^5 + 5027^5 + 6237^5 + 14068^5 = 14132^5 (Scher and Seidl, 1996)*1,

55^5 + 3183^5 + 28969^5 + 85282^5 = 85359^5 (Frye, 2004),

k=4の場合は無数に反例が存在する

Elkiesは1986年にEulerの冪乗和予想の反例が無数に存在することを証明しました。

楕円曲線 y^2=-31790x^4+36941x^3-56158x^2 +28849x+22030の有理点(x, y)に対して

(85x^2 + 484x − 313)^4 + (68x^2 − 586x + 10)^4 + (2y)^4 = (357x^2 − 204x + 363)^4

が成り立ちます。この楕円曲線が無数に有理点をもてば、分母を払うことによりEuler予想の反例を無数に手にいれることができます。この楕円曲線は有理点\displaystyle (x, y)=\left( −\frac{31}{467}, \pm \frac{30731278}{467^2} \right)を持ちます。この有理点が位数無限であることを示せばよいですが、Mazurによる\mathbb{Q}上の楕円曲線のMordell-Weil群の捩れ部分の決定に関する結果を用いることにより、有限通りの調査で証明できます。ここらへんをちゃんと理解するためには少々道具立てが必要となるため、今回の記事ではきちんと証明することは断念します。

*1:負の整数も考慮に入れた場合