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数、特に整数に関する記事。

面白い数のパラドックス

39

英語版WikipediaにInteresting number paradox - Wikipedia, the free encyclopediaという面白い記事があったので紹介します。

全ての数は面白い!?

『面白い数のパラドックス』とは次のような数学ジョークです:

自然数を面白い数面白くない数に分類する。このとき、全ての自然数は面白い数である。
証明. 面白くない数が存在したと仮定すると、面白くない数全体のなす集合S \subset \mathbb{N}は空集合でない。すなわち、Sに属する最小の数Nが存在する。このとき、Nは「面白くない最小の自然数である」という面白い性質をもつ。従って、N \in S \cap (\mathbb{N} \setminus S) = \emptysetとなって矛盾する。 Q.E.D.

数が面白いか面白くないかは数学的に決まるものではないため、これは単なるジョークにすぎません。特に、「面白いか否か」は主観が入ることに注意します。

面白くない最小の数は39!?

私自身、「~は『面白い性質を持たない最小の数』という面白い性質をもつ数らしいよ!」という話を何度も人から聴いたことがあります。ただ、~の部分が人によってバラバラなのが気になっていました。

実際、ニコニコ大百科の記事
dic.nicovideo.jp
によれば、39が面白くない最小の数らしいです*1

しかしながら、39という小さな数が何らの面白い性質を有さないとは俄には信じられません。

例えば、

合成数n \geq 4に対して、m(n)nの最小の素因数、M(n)nの最大の素因数とし、
\displaystyle S(n):=\sum_{m(n) < p \leq M(n)}p
とおく(和のpは素数をわたる)。このとき、n=S(n)が成り立つ最小の合成数は39である:
\displaystyle 39=3\times 13 = 3+5+7+11+13

は面白い性質だと思います。また、2357のような素数を10進法表記でくっつけていってできる素数のことをSmarandache–Wellin素数と言いましたが、
integers.hatenablog.com
類似の素数として、146891012\cdotsと素数でない自然数をくっつけていってできる素数を考えてみましょう。実はこのような素数のうち、最小のものは39までくっつけた

1468910121415161820212224252627283032333435363839

なのです。

最初にあげたWikipediaの記事によれば

N. Johnston, 11630 is the First Uninteresting Number, June 12, 2009.

において11630が「面白くない最小の数」として紹介されたようです。理由はオンライン整数列大辞典に現れない最小の自然数だったからというもの。しかしながら、今では7つも11630を含む数列が登録されています。2015年にはこのような最小の数は14972に更新されたようですが、検索してみると既に2つの数列が登録されています。

他にも、

A. Bellos, The Grapes of Math: How Life Reflects Numbers and Numbers Reflect Life. illus. The Surreal McCoy (1st Simon & Schuster hardcover ed.). N.Y.: Simon & Schuster. June, 2014, pp. 238-319 (quoting p. 319). ISBN 978-1-4516-4009-0.

では英語版Wikipediaに記事がないという理由で247を「面白くない最小の数」と紹介しているようです。



数はそれぞれが面白い個性を持っています。それはオンライン整数列大辞典をはじめとした様々なサイトや文献にまとめられていますが、当ブログもせきゅーんが独自に面白いと思う数の性質を紹介しています。上の例で見たように、数の面白い性質を探求していると「面白くない最小の数」の記録はどんどん塗り替えられていくことがわかります。途方もなくでかい数をランダムに与えると流石に面白い性質は中々見つけられないと思いますが、十分長い年月をかければその数の面白い性質が発見されてもおかしくはありません。そうすると「面白い数のパラドックス」の話は的を射ている気がしてきます。


というわけで、これまで「~は『面白い性質を持たない最小の数』という面白い性質をもつ数らしいよ!」というネタを披露してきた方は、代わりに「面白い数のパラドックス」の話をしてみてはいかがでしょう*2

*1:『数の辞典』に書かれているらしいです。

*2:ちなみに、「面白い数」の「数」を自然数に限定せず、例えば実数にしてみましょう(実際、「数」という言葉は自然数に限定しない文脈の方が多い)。このとき、面白くない数の非存在は同じ論法では結論付けられません!!事実、数学的な観点からしても、せきゅーんは実数は面白くない数だらけだと思っています!この点に関しては他の記事で書くかもしれません。