インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

1093, 3511:ヴィーフェリッヒ素数

Kを数体、\alpha \in K^{\times}\mathfrak{p}(\alpha, \mathfrak{p})=1なる有限素点とするとき、Fermatの小定理によって

\alpha^{N(\mathfrak{p})-1} \equiv 1 \pmod{\mathfrak{p}}

が成り立ちます(N(\mathfrak{p})はノルム)。それでは、\alpha1のべき根ではないと仮定して

\displaystyle \alpha^{N(\mathfrak{p})-1} \equiv 1 \pmod{\mathfrak{p^2}} -①

が成り立つ\mathfrak{p}はどのくらいあるでしょうか?

\displaystyle q_{\mathfrak{p}}(\alpha):=\frac{\alpha^{N(\mathfrak{p})-1}-1}{\mathfrak{p}} \in \mathcal{O}_{K, \mathfrak{p}}

のことをFermat商と呼びます(\mathcal{O}_{K, \mathfrak{p}}Kの整数環の\mathfrak{p}による局所化)。

Wieferich素数

K=\mathbb{Q}, \ \alpha = 2, \dots, 25の場合に合同式①が成り立つことが分かっている素数は以下のようになっています:


2^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=1093, 3511
3^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=11, 1006003
4^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=1093, 3511
5^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=2, 20771, 40487, 53471161, 1645333507, 6692367337,
188748146801
6^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=66161, 534851, 3152573
7^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=5, 491531
8^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=3, 1093, 3511
9^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=2, 11, 1006003
10^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=3, 487, 56598313
11^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=71
12^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=2693, 123653
13^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=2, 863, 1747591
14^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=29, 353, 7596952219
15^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=29131, 119327070011
16^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=1093, 3511
17^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=2, 3, 46021, 48947
18^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=5, 7, 37, 331, 33923, 1284043
19^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=3, 7, 13, 43, 137, 63061489
20^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=281, 46457, 9377747, 122959073
21^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=2
22^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=13, 673, 1595813, 492366587, 9809862296159
23^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=13, 2481757, 13703077, 15546404183, 2549536629329
24^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=5, 25633
25^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}: p=2, 20771, 40487, 53471161, 1645333507, 6692367337, 188748146801

このうち、2^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}を満たすような素数のことを特にWieferich素数といいます。このような素数の存在についてはAbelが既に言及していたのですが、Wieferichが次のような定理を証明したことからこのような名前が付きました:

定理 (Wieferich, 1909) 素数pに関するFermatの最終定理のファーストケースが成り立たないならば、pはWieferich素数である。

Fermatの最終定理のファーストケースについては
integers.hatenablog.com
を参照してください。

なお、次のような定理も証明されています:

定理 (Granville-Monagan, 1988) l89以下の任意の素数とする。このとき、素数pに関するFermatの最終定理のファーストケースが成り立たないならば、pは合同式
l^{p-1}\equiv 1 \pmod{p^2}
を満たす。

①を満たす\mathfrak{p}が無数に存在するか否かについてはどのK, \alphaに対しても証明されていません。

Fermatの最終定理と関係する点も含めて、Wieferich素数は以前紹介したWall-Sun-Sun素数に似ています:
integers.hatenablog.com

この観点から(Wieferich素数の方が古い概念であることも合わせて)、Wall-Sun-Sun素数はFibonacci-Wieferich素数とも呼ばれています(一つも見つかってないのに名前が2種類もある)。

3511

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tmix.jp
で販売されている素数TシャツではWieferich素数が赤色で印字されています。

一方、以前紹介した非正則素数については青色で印字されています。
integers.hatenablog.com

実は3511はWieferich素数かつ非正則素数であるため、赤と青が半々で印字されているのです。

このような特徴をもつ3511が私は大好きなのですが、アンケートを取ったところあまり人気はありませんでした笑。

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