インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

Caveney-Nicolas-Sondowの定理の証明

先延ばししていた定理(Caveney-Nicolas-Sondowの定理)の証明の解説を(Robinの仕事に基づいて)行います:
integers.hatenablog.com

一言で言えば、「Riemann予想の最も初等的な表現を与える定理」です。

補題1 4は最小の異常数である。

証明. 4は最小の合成数であることに注意。G(4)=5.347\cdots であるが、G(2) < 0なので異常数の一つ目の条件を満たすことが分かる。また、5040:Gronwallの定理とRiemann予想 - INTEGERSで紹介したRobinの不等式より、n \geq 5ならば

\displaystyle G(n) < e^{\gamma}+\frac{0.6483}{(\log \log 5)^2} = 4.643\cdots < G(4)

なので、二つ目の条件も満たすことが示された。 Q.E.D.

補題2 自然数Nを固定する。このとき、
\displaystyle \limsup_{l \to \infty}G(lN)=e^{\gamma}
が成立する。

証明. Gronwallの定理より、\displaystyle \limsup_{l \to \infty}G(lN) \leq e^{\gamma}がわかる。また、その証明におけるn_iは定義より十分大きいiに対してNの倍数となるから、証明中の③、④より\displaystyle \limsup_{l \to \infty}G(lN) \geq e^{\gamma}が従う。 Q.E.D.

補題3 R:=\{r\leq 5040 \mid G(r) \geq e^{\gamma}\}とする。r \in R, \ r > 5ならば、或る素因数p \mid rが存在して、G(r) < G(r/p)が成り立つ。

証明. これは計算機によって確認できる。 Q.E.D.

補題4 r \in Rp11以上の素数とする。このとき、G(pr) < e^{\gamma}

証明. 素数p, q, 自然数np > q, \ p \nmid n, \ q \nmid nなるものを考える。 このとき、

\displaystyle G(pn) = \frac{\sigma (pn)}{pn\log \log pn} = \frac{p+1}{p}\frac{\sigma (n)}{n\log \log pn} < \frac{q+1}{q}\frac{\sigma (n)}{n\log \log qn}=G(qn)

が成り立つ。さて、数値計算により、任意のr \in Rはその素因数が7以下であり、G(11r) < 1.76を満たすことが確認できる。よって、1.76 < e^{\gamma}に注意すれば、p11以上の素数であるとき、

G(pr) \leq G(11r) < e^{\gamma}

であることがわかる。 Q.E.D.

CNSの定理の証明

異常数N \neq 4が存在したと仮定する。このとき、異常数の定義における二つ目の条件および補題2よりG(N) \geq e^{\gamma}が成り立つことが分かる。従って、N \leq 5040であると仮定するとN \in Rとなる。また、N \neq 4は合成数なので、N > 5。すると、補題3より異常数の定義における一つ目の条件が成り立たないことになってしまい、Nが異常数であるという条件に反する。よって、N > 5040かつG(N) \geq e^{\gamma}であるから、Robinの定理(Gronwallの定理に関する記事で紹介した)によってRiemann予想は成り立たないことが分かる。

逆にRiemann予想が成り立たないと仮定する。Gronwallの定理より

M:=\max \{G(n) \mid n > 5040\}

が存在し、Robinの定理よりG(n) \geq e^{\gamma}なる n > 5040が存在するから、M \geq e^{\gamma}である。また、

N:=\min \{n > 5040 \mid G(n)=M\}

とする。このとき、Nが異常数であることを示す。Nが素数であると仮定すると、\sigma (N)=1+Nかる N > 5040より

\displaystyle G(N) < \frac{5041}{5040\log \log 5040}= 0.46672\cdots .

これはG(N)=M\geq e^{\gamma}に反するので、Nは合成数であることがわかった。N, Mの定義により、任意のn \geq Nに対してG(N) \geq G(n)が成り立つから、Nは異常数の定義における二つ目の条件を満たす。よって、後は一つ目の条件を満たすことを示せばよい。pNの素因数として、r := N/pとおく。r > 5040ならば、r < NおよびNの最小性よりG(N) > G(r)が成り立つ。従って、r \leq 5040の場合を考えればよい。5041 \leq n \leq 354280に対してG(n) < e^{\gamma}が成り立つことが確かめられるのでN > 35280=7\cdot 5040である。よって、r \leq 5040のとき、p \geq 11でなければならない。G(r) \geq e^{\gamma}と仮定する。このとき、r \in Rであり、補題4より

e^{\gamma} > G(pr) = G(N)

となってG(N) \geq e^{\gamma}に矛盾する。つまり、

G(r) < e^{\gamma} < G(N)

が成り立ち、Nは一つ目の条件も満たすことが示された。 Q.E.D.