をBell数とします。
Bell数に関する過去記事一覧:
52:ベル数 - INTEGERS
Bell数の母関数表示と第二種Stirling数 - INTEGERS
Bell数に関するHurst-Schultzの定理 - INTEGERS
pCrはpの倍数 - INTEGERS
Touchardの合同式 - INTEGERS
Zhi-Wei SunはBell数に関する次の興味深い事実を発見しました:
この事実は2011年にZ.W. SunとD. Zagierによって証明されました。
を完全順列とMontmort数 - INTEGERSで紹介したMontmort数とします。
とをみると、先ほどの例と関係がありそうです。漸化式
を思い出しておきます。これより、が偶数(resp. 奇数)ならばは奇数(resp. 偶数)であることもわかります。
証明. 任意の素数を固定して、を動かして証明する。は奇素数としてよい。というのも、が奇数のときにはは奇数であるが、合同式の左辺はであるからのときに主張が成立することが確認できる。次に、なるについて証明すれば十分であることに注意する。これは合同式の両辺がのみで決まることを確認すればよい。左辺については自然数に対して
なのでOK。右辺についても、
と表示すれば周期での値が決まることが分かる(が以上の項は必ずになることに注意)。
そうして、なるに対しては数学的帰納法で証明する。合同式の左辺をとおこう。
を示せばよい(これが示せれば、①より帰納法がまわること分かる)。
過去記事で示した事実として、
があり、が成り立つので、
とが証明できる。次に、Fermatの小定理およびによって
と変形できる。
が成り立つので、再びFermatの小定理によって
と所望の合同式が証明された。 Q.E.D.
integers.hatenablog.com
で紹介した冪乗和の公式において、が任意の自然数に対してで割り切れることを容易に確認することができます。このことから、ならば、が分かります。
さて、としましょう。すると、上記観察から
が得られます(負冪のときはFermatの小定理を使う)。よって、
と計算でき、定理と合わせることによってに対して
が成り立つことを示せました。特に、とすれば次が得られます:
証明. 直前の式でとすることにより、
を得る。最後にWilsonの定理を用いた。 Q.E.D.
ひとまず、Bell数について語りたいことは紹介できました。