インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

多項式に関する簡単な問題

以前出題した問題の答を書いておきます:
integers.hatenablog.com

定理 Kを有理数体\mathbb{Q}を含む体とする。f(x_1, \dots, x_n) \in K[x_1, \dots, x_n]が条件
任意の\boldsymbol{m}=(m_1, \dots, m_n) \in \mathbb{Z}^nに対し、f(\boldsymbol{m})=0が成り立つ。
を満たすとき、f=0が成り立つ。

証明1

d := \deg f+1とする。

F(x_1):=f(x_1, x_1^d, x_1^{d^2}, \dots, x_1^{d^{n-1}})

F(x_1) \in K[x_1]を定義すると、\displaystyle f(\boldsymbol{x})=\sum_{(k_1, \dots, k_n) \in \mathbb{Z}_{>0}^n}a_{(k_1, \dots, k_n)}x_1^{k_1}\cdots x_n^{k_n}と書けるとき、

\begin{equation}\begin{split}F(x_1) &= \sum_{(k_1, \dots, k_n) \in \mathbb{Z}_{ > 0}^n}a_{(k_1, \dots, k_n)}x_1^{k_1}\cdot x_1^{k_2d}\cdot x_1^{k_3d^2}\cdots x_1^{k_nd^{n-1}} \\ &= \sum_{(k_1, \dots, k_n) \in \mathbb{Z}_{>0}^n}a_{(k_1, \dots, k_n)}x_1^{k_1+k_2d+k_3d^2+\cdots +k_nd^{n-1}}\end{split}\end{equation}

である。一変数の場合は定理が成り立つことは明らかなので、fが定理の条件を満たすとき、F(x_1)=0が従う。0 \leq k_i \leq d-1 \ (i=1, \dots, n)なので、

\begin{equation}\begin{split}(k_1, \dots, k_n) &\neq (k_1', \dots, k_n') \Longrightarrow \\ &k_1+k_2d+k_3d^2+\cdots +k_nd^{n-1} \neq k_1'+k_2'd+k_3'd^2+\cdots +k_n'd^{n-1}\end{split}\end{equation}

に注意すると、任意の(k_1, \dots, k_n) \in \mathbb{Z}_{>0}^nに対してa_{(k_1, \dots, k_n)}=0が成り立つ。すなわち、f=0Q.E.D.

証明2

nに関する帰納法で示す(ただし、体Kは固定せず任意性をもたした命題として証明する)。n=1のときは明らかなので、n-1のときに成立すると仮定してnのときを証明する。fK[x_1, \dots, x_{n-1}][x_n]の元とみなして、G(x_n)と書くことにする。任意にm \in \mathbb{Z}をとるこのとき、n-1変数多項式G(m) \in K[x_1, \dots, x_{n-1}]fに対する仮定から、n-1変数の場合の定理の条件を満たすことが分かる。よって、帰納法の仮定から、G(m)=0が成り立つ。すなわち、L:=\mathrm{Frac}K[x_1, \dots, x_{n-1}]とするとき、G(x_n) \in L[x_n]は一変数の場合の定理の条件を満たす。よって、G(x_n)=0であり、f=0である。 Q.E.D.

類題 nを自然数とする。有界なるn変数複素係数多項式は定数に限ることを示せ。