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数、特に整数に関する記事。

代数学の基本定理の位相空間論的証明

代数学の基本定理 (Gauss) 定数でない複素係数多項式は少なくとも一つの複素数根をもつ。

この記事ではSenによる証明を紹介します。

補題 f\colon X \to Yが位相空間の間のproperな連続写像であり、YがHausdorff局所コンパクト空間であるならば、fは閉写像である。ここで、fがproperとは、Yの任意のコンパクト部分集合Kに対してf^{-1}(K) \subset XXのコンパクト部分集合となることをいう。

証明. V \subset Xを閉集合とする。f(V)=Yのときは自明に f(V)は閉集合なので、f(V) \neq Yとする。y \in Y \setminus f(V)を任意にとる。Yは局所コンパクトなので、コンパクト近傍K \ni yがとれる。fがproperなので、f^{-1}(K) \subset Xはコンパクト。よって、W:= V \cap f^{-1}(K) \subset Xもコンパクトである。fは連続なので f(W)はコンパクトで、YがHausdorffなので f(W)は閉集合。故に、\mathrm{int}(K)\setminus f(W)は開集合であり、Y\setminus f(V)の部分集合かつy \in \mathrm{int}(K)\setminus f(W)となっている。従って、f(V)は閉集合である。 Q.E.D.

\displaystyle p(z) = a_nz^n+a_{n-1}z^{n-1}+\cdots +a_1z+a_0

を定数でない複素係数多項式とする(a_0, \dots, a_n \in \mathbb{C}, \ a_n \neq 0)。これは、写像p\colon \mathbb{C} \to \mathbb{C}と思える。

C:= \{z \in \mathbb{C} \mid p'(z) = 0\}

と定めると、Cは有限集合である(高々n-1個の元。これは循環論法ではない)。また、p^{-1}(p(C)) \subset \mathbb{C}も有限集合である(p(C)は当然有限集合であり、p(C)の各元に対し、その逆像は先ほどと同じ理由で有限である)。X:=\mathbb{C}\setminus p^{-1}(p(C))Y:=\mathbb{C} \setminus p(C)とする。このとき、

p(X)=Y

が成り立つ。p(X) \subset Yは自明に成り立つ。多項式写像pはproperであり(多項式写像は当然連続であるので、\left|z\right| \to \infty \Rightarrow \left|p(z)\right| \to \inftyに注意すれば分かる)、\mathbb{C}はHausdorff局所コンパ クト空間であるから、補題よりpは閉写像である。 よって、p(\mathbb{C}) \subset \mathbb{C}は閉集合。そして、p(X) = Y \cap p(\mathbb{C})であるから、p(X) \subset Yも閉集合である。次に、任意にy \in p(X)をとり、y = p(x)なるx \in Xを一つとる。Cの定義よりxは正則点であるから、逆写像定理によりx(resp. y) の開近傍U(resp. V)が存在して、f|_U\colon U \to Vは全単射となる。特にyp(X)において開近傍をもつことが分かり、p(X) \subset Yは開集合であることが分かった。さて、Yは連結であるから(\mathbb{C}から有限個の点を除いても連結である)、p(X) = Yが示された。すなわち、pは全射である。