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数、特に整数に関する記事。

オイラーの五角数定理の証明

5 定理解説

Eulerの五角数定理

\displaystyle \prod_{n=1}^{\infty}(1-x^n) = \sum_{m=-\infty}^{\infty}(-1)^mx^{\frac{m(3m+1)}{2}} = 1+\sum_{m=1}^{\infty}(-1)^m \left\{ x^{\frac{m(3m-1)}{2}}+x^{\frac{m(3m+1)}{2}} \right\}

は非常に美しい定理です。収束半径は1ですが、形式的冪級数の等式と考えるのがよいでしょう。

この定理は過去の記事で一度使ったことがあります:
integers.hatenablog.com

Eulerの五角数定理より偉い定理であるJacobiの三重積というものがあって
integers.hatenablog.com
integers.hatenablog.com
で既にお世話になっていますが、

Jacobiの三重積からEulerの五角数定理が得られることは
tsujimotter.hatenablog.com
で解説されています。

しかしながら、当然EulerはJacobiの三重積の前に五角数定理を証明していますし、Franklinによる組合せ論的な証明も知られています。

この記事では、Shanksによる代数計算に基づいた比較的簡明なる直接証明を紹介したいと思います。

Shanksの証明

\begin{align}P_n &:=\prod_{k=1}^n(1-x^k)\\ S_n&:=1+\sum_{m=1}^n(-1)^m \left\{ x^{\frac{m(3m-1)}{2}}+x^{\frac{m(3m+1)}{2}} \right\}\\ Q_n&:=\sum_{k=0}^n(-1)^k\frac{P_n}{P_k}x^{kn+\frac{k(k+1)}{2}}\end{align}

とおく(P_0:=1)。このとき、

S_n=Q_n

が任意の自然数nに対して成立することを証明する。

n \geq 1に対してP_n=P_{n-1}-x^nP_{n-1}が成り立つので、

\begin{align} Q_n &= \sum_{k=0}^{n-1}(-1)^k\frac{P_n}{P_k}x^{kn+\frac{k(k+1)}{2}} + (-1)^nx^{n^2+\frac{n(n+1)}{2}} \\
&= \sum_{k=0}^{n-1}(-1)^k\frac{P_{n-1}}{P_k}x^{kn+\frac{k(k+1)}{2}} + \sum_{j=0}^{n-1}(-1)^{j+1}x^n\frac{P_{n-1}}{P_j}x^{jn+\frac{j(j+1)}{2}} +(-1)^nx^{\frac{n(3n+1)}{2}}\end{align}

と変形できる。次に、二つ目の和を次のように変形する:

\displaystyle \sum_{j=0}^{n-1}(-1)^{j+1}x^n\frac{P_{n-1}}{P_j}x^{jn+\frac{j(j+1)}{2}}= \sum_{k=1}^{n-1}(-1)^kx^n\frac{P_{n-1}}{P_{k-1}}x^{(k-1)n+\frac{k(k-1)}{2}} + (-1)^nx^n\cdot x^{n(n-1)+\frac{n(n-1)}{2}}

\displaystyle \frac{1}{P_{k-1}}=\frac{1-x^k}{P_k}より、

\begin{align}&\sum_{j=0}^{n-1}(-1)^{j+1}x^n\frac{P_{n-1}}{P_j}x^{jn+\frac{j(j+1)}{2}}\\ &= \sum_{k=1}^{n-1}(-1)^k(1-x^k)\frac{P_{n-1}}{P_k}x^{kn+\frac{k(k-1)}{2}}+(-1)^nx^{\frac{n(3n-1)}{2}}\\
&=\sum_{k=1}^{n-1}(-1)^k\frac{P_{n-1}}{P_k}x^{k(n-1)+\frac{k(k+1)}{2}}-\sum_{k=1}^{n-1}(-1)^k\frac{P_{n-1}}{P_k}x^{kn+\frac{k(k+1)}{2}}+(-1)^nx^{\frac{n(3n-1)}{2}}.\end{align}

最初の変形と合わせると、

\displaystyle Q_n=\sum_{k=0}^{n-1}(-1)^k\frac{P_{n-1}}{P_k}x^{k(n-1)+\frac{k(k+1)}{2}}+(-1)^n\left\{ x^{\frac{n(3n-1)}{2}}+x^{\frac{n(3n+1)}{2}}\right\}

を得る。これは、

Q_n-Q_{n-1} = S_n - S_{n-1}

を意味する。

S_1=1-(x+x^2)=(1-x)-x^2=Q_1

なので、結局S_n=Q_nが示された。

すると、任意の自然数nに対して

Q_n \equiv P_n \pmod{x^{n+1}}

なので、

S_n \equiv P_n \pmod{x^{n+1}}

が成り立ち、これは五角数定理を意味する。 Q.E.D.