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数、特に整数に関する記事。

基準完全数

\sigmaを約数総和関数とするとき、\sigma (n)=2nが成り立つような正整数のことを完全数というのでした:
integers.hatenablog.com

dnの正の約数とするとき、d基準約数であるとは、dn/dが互いに素であることと定義します。

例)36=3\times 12=4 \times 9 なので、31236の基準約数ではないが、4936の基準約数である。

\sigmaの類似として、nの基準約数の総和を\sigma^{\ast}(n)と定義します。

例)36の基準約数は1, 4, 9, 36なので、\sigma^{\ast}(36)=1+4+9+36=50が成り立つ。

\sigma^{\ast}(1)=1であり、n > 1についてはn=p_1^{e_1}\cdots p_k^{e_k}と素因数分解することによって

\sigma^{\ast}(n)=(1+p_1^{e_1})\cdots (1+p_k^{e_k})

が成り立つことが分かります(約数の素因数p_iの指数がe_iより小さいとそれは基準約数ではない)。よって、\sigma^{\ast}は乗法的関数です*1

この基準約数という概念を用いて、基準完全数が定義されます:

定義 正の整数nが基準完全数であるとは、\sigma^{\ast}(n)=2nが成り立つときにいう。

知られている基準完全数は全部で6個です。

一つ目
6=2\times 3, \quad \sigma^{\ast}(6)=(1+2)(1+3)=12

二つ目
60=2^2\times 3\times 5, \quad \sigma^{\ast}(60)=(1+4)(1+3)(1+5)=120

三つ目
90=2\times 3^2\times 5, \quad \sigma^{\ast}(90)=(1+2)(1+9)(1+5)=180

四つ目
87360=2^6\times 3\times 5\times 7\times 13

\begin{align} \sigma^{\ast}(87360)&=(1+64)(1+3)(1+5)(1+7)(1+13)\\ &=(5\times 13) \times 2^2\times (2\times 3)\times 2^3\times (2\times 7)=2^7\times 3\times 5 \times 7 \times 13\end{align}

五つ目
\begin{align}&146361946186458562560000\\ &= 2^{18} \times 3 \times 5^4 \times 7 \times 11 \times 13 \times 19 \times 37 \times 79 \times 109 \times 157 \times 313\end{align}

\begin{align}&\sigma^{\ast}(146361946186458562560000)\\
&= (1+2^{18})(1+3)(1+5^4)(1+7)(1+11)(1+13)(1+19)(1+37)(1+79)(1+109)\\
&\quad \quad \times (1+157)(1+313)\\
&= 262145 \times 4 \times 626 \times 8 \times 12 \times 14 \times 20 \times 38 \times 80\times 110 \times 158 \times 314 \\ 
&= (5\times 13\times 37\times 109)\times 2^2 \times (2 \times 313) \times 2^3 \times (2^2\times 3) \times (2\times 7) \times (2^2\times 5) \\
&\quad \quad \times (2\times 19)\times (2^4\times 5) \times (2 \times 5 \times 11) \times (2 \times 79) \times (2\times 157)\\
&=2^{19}\times 3 \times 5^4 \times 7 \times 11 \times 13 \times 19 \times 37 \times 79 \times 109 \times 157 \times 313\end{align}


基準完全数は有限個しかないと思われていますが、未解決問題です。一方、奇数の基準完全数が存在しないことは簡単に証明できます:

定理 奇数であるような基準完全数は存在しない。

証明. 奇数の基準完全数n > 1が存在したと仮定する。n=p_1^{e_1}\cdots p_k^{e_k}と素因数分解されているとすると、

(1+p_1^{e_1})\cdots (1+p_k^{e_k})=2n

が成り立つ。nは奇数なので、左辺は2で割り切れるが4では割り切れない*21+p_i^{e_i}は偶数なので、k=1でなければならないことがわかった。すると、

1+p_1^{e_1}=2p_1^{e_1}

ということになるが、それは1=p_1^{e_1}と言っていて矛盾。 Q.E.D.

*1:互いに素な整数n, mに対して、\sigma^{\ast}(nm)=\sigma^{\ast}(n)\sigma^{\ast}(m)が成立。

*2:こういうのを単偶数という。