インテジャーズ

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

インテジャーズ

数、特に整数に関する記事。

Shanksの恒等式の拡張と円周率近似の作図

31 113 355

以前紹介したShanksの恒等式

integers.hatenablog.com

はWilliam G. Spohn, Jr. によって次のように拡張できることが指摘されています:

K^2=m+nのとき、
\sqrt{K+\sqrt{n}}+\sqrt{K+m-\sqrt{n}+2\sqrt{m(K-\sqrt{n})}} = \sqrt{m}+\sqrt{2(K+\sqrt{m})}.

11^2=5+116のときがShanksの恒等式になっています。他には、例えば6^2=5+31より

\begin{align}&\sqrt{6+\sqrt{31}}+\sqrt{11-\sqrt{31}+2\sqrt{30-5\sqrt{31}}} = \sqrt{5}+\sqrt{12+2\sqrt{5}}\\ &=6.294655903737137999795666954270866835755781658953676453787\dots \end{align}

が得られますし、12^2=31+113より

\begin{align}&\sqrt{12+\sqrt{113}}+\sqrt{43-\sqrt{113}+2\sqrt{372-31\sqrt{113}}} = \sqrt{31}+\sqrt{24+2\sqrt{31}}\\ &=11.49528734681414510373602785519044656701402256143457869209\dots \end{align}

が得られます。


6^2=5+3112^2=31+113と言えばピンとくるものがありますよね。

私がフリーハンドで描いた次の芸術的な図をご覧ください:

f:id:integers:20170128025251p:plain

  • Oを中心とする円を考える。
  • ABは円の直径。
  • MAOの中点。TOB2:1に内分する点。
  • PTABと垂直。
  • BQ=PT
  • OSTRBQと平行。
  • AD=AS
  • AC=RSで、ACを延長してできる直線は円のAにおける接線。
  • BE=BM
  • EXCDと平行。

このとき、Ramanujan曰く、「BX^2は円の面積に非常に近い」(1914年)。


AO=1としてみましょう。勾股弦の定理を使っていけば計算できます*1。まず、PTを求めると\displaystyle PT=\frac{\sqrt{5}}{3}。よって、\displaystyle BQ=\frac{\sqrt{5}}{3}。これより、

\displaystyle AQ=\sqrt{4-\frac{5}{9}}=\frac{\sqrt{6^2-5}}{3}=\frac{\sqrt{31}}{3}

よって、\displaystyle AS=\frac{\sqrt{31}}{6}\displaystyle AC=RS=\frac{\sqrt{31}}{9}

\displaystyle BC = \sqrt{4+\frac{31}{81}}=\frac{\sqrt{18^2+31}}{9}=\frac{\sqrt{355}}{9}

\displaystyle BE=BM=\frac{3}{2}

\displaystyle BD = \sqrt{4-\frac{31}{36}}=\frac{\sqrt{12^2-31}}{6} = \frac{\sqrt{113}}{6}

従って、

\displaystyle BX= \frac{BE}{BD}\times BC = \frac{\frac{3}{2}}{\frac{\sqrt{113}}{6}}\times \frac{\sqrt{355}}{9} = \sqrt{\frac{355}{113}}

すなわち、BX^2は密率

\displaystyle \frac{355}{113}=3.141592920353982300884955752212389380530973451327433628318\dots

になっていることが分かりました。密率については

integers.hatenablog.com

tsujimotter.hatenablog.com

をご覧ください。


実は密率に現れる113355には31

113= 12^2-31, \quad 355= 18^2+31

という形で関わっており、それを上手く作図化したというわけです。見事。