方程式
の正整数解は
しか知られていません。1876年及び1885年にBrocardが、1913年にRamanujanがこの方程式を扱っています。Erdősはこれら以外に解は存在しないと予想しているそうです。
定理 (Overholt, 1993) ABC予想が正しいと仮定する。このとき、Brocard-Ramanujan方程式は正整数解を高々有限個しか持たない。
証明. とし、であるとする。このとき、は奇数なので、とおくと、
・が成り立つ*1。
・Chebyshevの定理より、或る定数が存在して
が成り立つ(は素数)。
・を一つとって固定する。このとき、が存在して、任意のABCトリプルに対して
が成り立つ。ただし、と置いた。はABCトリプルなので、
が成り立つ。
よって、
が得られる。ここで、は或るのみに依存する定数。つまり、
Overholtの証明をeffectiveにしてみましょう。ABC予想の記事に書いたように、次の予想は数値的には成立すると思われています。
強い予想 任意のABCトリプルに対して
この予想を仮定すると、Overholtの定理の証明の設定で
が成り立ちます。また、Rosser-Schoenfeldが証明したで成立する不等式
を使えば、Overholtの計算は
となって、
が得られます。Berndt-Galwayによって、までErdősの予想が正しいことが確認されているとのことですが、この予想の成立は非常に確からしいことがわかりました。