インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

謎の数学者バウデットが死の直前に遺した真珠

時は1921年。前年には日本人数学者高木貞治が類体論に関する大論文を発表していたが、この年、一人のオランダ人数学者は新しい数学の鉱脈を発見した。彼の名は


Pierre Joseph Henry Baudet


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「自然数全体のなす集合を二つの集合に分けてみよう。このとき、どのような分け方をしたとしても、どちらか一方の集合には必ず任意の長さの等差数列が含まれるのではないか。」


「私は数の世界に成り立つ美しい真珠を見つけてしまった・・・」


この年のクリスマス、彼は肺炎で亡くなった。享年30。

短期連載企画「等間隔に並ぶ素数を追い求めて」

というわけで、告知です。私が今までに一番力を入れて書いた記事は


integers.hatenablog.com


でした。


「これを超える記事を書きたい!」と思い、遂にあの定理の解説を試みることにします。


一つの記事では書ききれないため、短期集中連載を以下の日程で行う予定です。


最初の更新日の前に、まずは、次の記事を予習・復習しておいてください。


integers.hatenablog.com

更新予定

9/9:  エルデシュ・トゥーランの定理 - INTEGERS
9/10: ロスによるエルデシュ・トゥーラン予想の解決 - INTEGERS
9/12: 等間隔に並ぶ素数を追い求めて〜グリーン・タオの定理〜 - INTEGERS
9/14: タオのセメレディ論文の§1, 2を読む - INTEGERS
9/15: タオのセメレディ論文の§3を読む - INTEGERS
9/16: タオのセメレディ論文の§4を読む - INTEGERS
9/17: タオのセメレディ論文の§5を読む (その一) - INTEGERS
            タオのセメレディ論文の§5を読む (その二) - INTEGERS
9/18: タオのセメレディ論文の§6を読む (その一) - INTEGERS
            タオのセメレディ論文の§6を読む (その二) - INTEGERS
            タオのセメレディ論文の§6を読む (その三) - INTEGERS
9/19: タオのセメレディ論文の§7を読む - INTEGERS
9/20: タオのセメレディ論文の§8を読む - INTEGERS
9/21: タオのセメレディ論文の§9を読む(その一) - INTEGERS
            タオのセメレディ論文の§9を読む(その二) - INTEGERS
9/22: タオのセメレディ論文の§10を読む(その一) - INTEGERS
            2記事更新予定
9/24: 1記事更新予定
9/25: 1記事更新予定
9/26: 1記事更新予定
9/27: 2記事更新予定
9/28: 2記事更新予定
9/29: 1記事更新予定
9/30: 2記事更新予定
10/2: 2記事更新予定
10/3: 2記事更新予定
10/4: 1記事更新予定
10/5: 1記事更新予定
10/7: \text{MATH POWE}\mathbb{R}^{2017}にて90分講演
mathpower.sugakubunka.com

献呈

遅くとも2016年3月にはあの定理を当ブログで解説することを心に決めていました。しかしながら、一日や二日で書けるものではありません。結局は、先延ばし先延ばしになってしまっていました。そうして、一年が経過した2017年3月。そのときブログの更新は停滞気味だったのですが、読者の皆さんに申し訳ないと思い、私はとっておきである先ほどのvan der Waerdenの定理の記事を公開しました。本来は、あの定理の解説下書きが完成するまで公開を我慢しなくてはならなかったものです。それでも、一話完結で読めますし、一つぐらい先に公開してもいいやという気持ちでした。そして、同じく3月に東京に行く機会があった私は、みらい研究所に集う数学仲間に向けてvan der Waerdenの定理の証明がいかに素晴らしいものであるかを解説しました。その中には、私がいるということでお忙しい中駆けつけてくださった辻順平さんもいました。そして、いつものように「私はいつかあの定理の解説をブログに書くつもりです」と宣言しました。口だけ男です。「一体、いつになったら書くんですか?」と。それでも、口にすれば局所的にはやる気が出てきます。そんな中、時同じくして辻さんが岩澤理論の勉強を数ヶ月間コツコツと続けていることを知りました。私はこのことにとても心打たれました。当然、数学はコツコツ勉強する必要がある学問です。それは特に数学専門の人間ならば当たり前のことですし、何度も経験しているはずのことですが、継続するということはそれなりに大変なことです。言い訳ですが、あの定理は私の専門から幾分離れたもので、いわばド素人です。でも、ずっと憧れの定理でした。高校生のときに論文を印刷してから、ずっとずっと眺めていた対象なのです。しかし、数学の専門家ではない辻さんが、本業が忙しい中、彼にとっての憧れである岩澤理論をあれだけ猛勉強されている。これを知って、私は「今読まなければ一生読まない、今読むしかない」と決意するに至りました。私はこの憧れの定理を解説する一連の記事を辻順平さんに献呈致します。

謝辞

セミナーに付き合ってくださった松森至宏さん、MathPower2017での講演機会を与えてくださりサポートをしてくださっている中澤俊彦さんに心より感謝申し上げます。また、Baudetを始めとする、憧れの定理の証明に関わった全ての数学者、そして全ての素数に感謝します。