§3 Overview of proof では証明のスキーム
- 或るという対象がある。
- には或るランダム性と構造という概念を定義することができる。
- を(構造化部分)+(誤差項)に分ける構造定理を示す。誤差項はランダムな部分。
- 誤差項を取り除く一般化von Neumann定理及び構造化部分に関する構造化回帰定理を証明する*1。
に従って、主定理(Theorem 2.4)を三つの定理(Thm 3.1, Thm 3.3, Thm 3.5)に分離します。
ランダム性と構造
非負値有界関数 のランダム性と構造は二種類のノルムの族によって定めます*2。
Gowers一様性ノルム族 (ランダム性を定めるノルム族. §4で定義される)
一様概周期性ノルム族 (構造を定めるノルム族. §5で定義される)
三つの定理
最初の定理はGowers一様性ノルムが小さい部分は無視できることを主張するものです:
次の定理は構造化回帰定理です:
この定理の証明が一番難しい部分で、Furstenberg等の議論とvan der Waerdenの定理を使います。は帰納法を回すためのパラメータでとして適用します。
最後に構造定理です*3:
この定理はFurstenbergの構造定理とSzemerédi正則化補題のハイブリッドになっているとのことです。それでは、主定理をこれら三つの定理に帰着しましょう。
Thm 3.1, Thm 3.3, Thm 3.5 Thm 2.4の証明
をThm 2.4のものとする。また、のときにThm 3.3の結論の不等式の左辺が正定数で下から押さえられているものとする。として任意のに対して
を満たすものを一つ選ぶ*4。この設定に対してThm 3.5で存在するを取る*5。このとき、
と展開できる。最後の和の なる項はThm 3.3のの場合によって下からでおさえられる。
残りの項についてはそれぞれ少なくとも一つを含むので、Thm 3.1よりどの項も絶対値がで上から押さえらえる。すなわち、
が示された(の取り方に注意)。なので、結局
すなわち、Thm 2.4が示された。 Q.E.D.