インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

Eテレ『又吉直樹のヘウレーカ!』に出てきた商品のお値段

又吉直樹先生、千葉逸人先生、鈴木咲衣先生による数学に関する番組が昨日放映されました。私は23日から東京に滞在しており、昨日の深夜に帰ってきたため、今日の朝に録画を観させていただきました。ちなみに、23日の夜にとある飲み会で千葉先生とすれ違いになってしまいお会いできなかったのが残念です(既に一度飲んだことはあるのですが)。

さて、この番組はカフェ「喫茶つまずき」での数学トークを映したものなのですが、商品の値段が面白い設定になっていたので紹介したいと思います:

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千葉先生は5711円のビールを注文しておられました。この値段に現れる数達の特徴が気になるところですが、幾つかについては既に当ブログで紹介していることに気づきます。

57

これは番組中でも紹介されたようにグロタンディーク素数として有名になってしまった数です。
integers.hatenablog.com

59

59は合成数であるような最小のユークリッド数30031の小さい方の素因数です。
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1229

10000以下の素数の個数が1229個ですが、1229は素数でもあるので好きな人は多いです。
integers.hatenablog.com

1231

これまでにたまには素数の話でも - INTEGERSとか1193とか1201のはなし - INTEGERSで取り扱ったことがある素数ですが、主役にはなっていませんでした。大晦日素数などと言われたりもしますが*1、若干面白い性質があります。

1231=269+962=467+764=863+368

ですが、このように「(素数) + (その素数を逆から読んだ数)」として三通りの方法で表すことのできる最小の素数が1231です。

1729

これはラマヌジャンのタクシー数として有名です。
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その他の数はまだ当ブログでは扱ったことのない数ですが、(1019, 1021)(1229, 1231)双子素数になっていますね。

(1019, 1021)は若干有名な双子素数で、p\#+1(p+2)\#+1がともに素数となるような知られている最大の双子素数です。p\#素数階乗の記号です*2


1019には次のような数遊びが知られています。1019の三乗は

1019^3=1058089859=297594067 + 760495792

と書けますが、このように三乗が「(素数) + (その素数を逆から読んだ数)」と書くことができる最小の素数が1019です。


1277の面白い性質は知らないですが、各桁の数の総和1+2+7+7=17と各桁の数の総積1\times 2 \times 7 \times 7=98の各桁の数の総和9+8=17が一致するような最小の素数だったりします。


5711はこの際、千葉先生のビール素数と名付けたい気持ちがあります。5711n番目の素数をp_nとして、p=p_n, q=p_{n+1}, r=p_{n+1}に対してpq+qr+rpと書ける素数の一つとなっています*3

5711=41\times 43+43\times 47+47\times 41, \quad p_{13}=41, \ p_{14}=43, \ p_{15}=47.


さて、571729は素数でないけど有名な数として登場していますが、その他の数は全て素数かと思っていたら、、、、

実は6601は素数ではありません。1729と同じく絶対擬素数の仲間です。

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6601 = 7 \times 23 \times 41であり、66006, 22, 40で割り切れるため、Korseltの定理によって6601は確かに絶対擬素数であることがわかりました。

*1:cf. 『決してマネしないでください』第三巻発売!素数大富豪!! - INTEGERS

*2:n!+1型素数を階乗素数p\#+1型素数を素数階乗素数と言います。

*3:2357は最初の四つの素数をくっつけてできる素数ですから覚えている人も多いと思いますが、5711は連続する三つの素数を並べてできる最小の素数です。cf. 2357:Smarandache–Wellin数 - INTEGERS