後半で基本Gowers反一様関数達に良い性質を持つ-加法族を付随させる命題を証明します。
証明. の定義から、一つ目の不等式は§7(その一)の命題の直接的な帰結である。各のアトムの個数は 個なので、のアトムの個数は 個である(Tao(2006) §6(その一)の補題4より のアトムはのアトム達の共通部分として表すことができることに注意)。ここで、のアトム が"小さい"とは
が成り立つことと定義し、を
とする。すると、
が成り立つ。よって、後は 及び が存在して、 に対して
が成り立つことを示せばよい。そのためには、 及び が存在して、 に対して
が任意の小さくないアトムに対して成り立つことを示せばよい。理由: 十分小さい と十分大なるに対して上記等式が示されたと仮定する。ここで、等式
が成り立つことに注意しておく。示すべきことは に対して一様に
が成り立つことである。が小さいアトムであれば、この値はであるので、が小さくないときを考える。このとき、仮定より
である。 更に、小さくないアトム に対する等式
に帰着できる(この等式自体は や は要求しない)。理由: 示せたとする。が小さくないという仮定から
なので、が に依存して十分大きく、が に依存して十分小さければ
が成り立つ。従って、が十分小さく、が十分大きい状況で
が得られる。
③を証明する。と書ける(は のアトム)。このとき、§7(その一)の命題より各 に対して連続関数 が存在して
が成り立つ。連続関数 を
と定義する。すると、であることと、Tao(2006) §6(その三)の補題より
が得られる。よって、であることから
である。のみから決まる集合 を
の閉包と定義する。ただし、は§7(その一)の命題で存在するものとする。すると、はコンパクトであり*1、なので、§6(その二)の命題より
が成り立つ。これと④を合わせることにより
と③が示された。 Q.E.D.
*1:をコンパクト位相空間とし、 をそれぞれ相対コンパクトな部分集合とする。このとき、を と定義すれば、は相対コンパクトとなる。これは、Ascoli-Arzeláよりわかる。ここで、は値ではなく、それで定まる写像とする。