Goldston-Yıldırım型定理Aを仮定して、が
-線形形式条件を満たすことを証明します。
を代表元をとる関数
とする(全成分で代表元をとる写像
も同じ記号を用いる)。
証明. を正整数とする。分母・分子の絶対値が
以下の
個の有理数
であって、
個のベクトル
はどの二つをとっても
上一次独立であるようなものをとる。十分大きい素数
を考え、各有理数
を自然に
の元とみなし、
を任意にとって、
に対して線形形式
を
で定義する。このとき、示すべきことは
であった。絶対値に関する条件をに置き換えることによって、
は整数であると仮定してよい。理由: 有理数
達の分母の絶対値を全て掛け合わせたものを
とする。
を
とすれば、は整数であり、
全成分を
倍する写像
は
が十分大きければ全単射であり、
が成り立つので、整数の場合に帰着される。 よって、達は絶対値が
であるような整数であると仮定し、更に、絶対値が
で上から押さえられるだけ
を大きくとっておく。こうして、Goldston-Yıldırım型定理Aを使える形に近づけているが、
の定義が場合分けでなされていることから期待値の和の範囲を分割する議論が必要となる。
を十分増加速度の遅い
を満たすような整数とする。このとき、
を殆どサイズが等しい
個のボックスに分ける*1:
に対して
と定義すると、
と分割されているが、Gauss記号の中身が整数となるかならないかによって各のサイズは若干異なり、
の増加速度が十分遅ければ
である。よって、
を得る。ここで、がナイスであるとは、任意の
に対して
が成り立つことと定める。がナイスであれば、
に対して
であるか、
のいずれかが成り立つ()。ここで、前者のケースについて若干の議論を要する。
主張1の証明. に対して、
が成り立つが、
であり、
なので、①の左辺の絶対値は十分大きいに対して
未満になる。すなわち、
である。 主張1の証明終.
よって、と書くことにし、線形形式
を
と定め*2、とすれば、先ほどの前者のケースは
となる。は
であれば成立するので、Goldston-Yıldırım型定理Aより
が得られる(は
の或る部分列)。
次に、がナイスでない場合を考える。この場合は任意の
に対して
と大胆に評価することにする*3。すると、展開して計算することによって、Goldston-Yıldırım型定理Aより
を得る。以上より、
が証明されれば、
と計算でき、であることから、これは
となる。つまり、後は主張2を証明すればよい。
主張2の証明. はナイスでないとする。このとき、或る
及び
が存在して、
が成り立つ。このとき、 or
のいずれかに対して、
は
と
で挟まれる。
と
が
に属していることと
に関するバウンドから、
が成り立つので、主張1より
すなわち、
が成り立つことがわかる。両辺をで割れば
となる。は整数なので、
は一次合同式
を満たさなければならないことがわかった。各ナイスでないに対して
の部分が何か決まった一つの値になっているわけであるが、その合同式を満たすような
は高々
個しかない(
が十分大きいとき、
において
であるため)。よって、ナイスでない
は高々
個しか存在しないことがわかった。 主張2の証明終.
以上により、命題の証明が完了する。 Q.E.D.