インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

フィボナッチ数34

Fibonacci数 F_9=34について、その性質を少し紹介したいと思います。

integers.hatenablog.com

で私の好きな素数5882353=588^2+2353^2は全ての桁がFibonacci数であり、各桁の総和=34もFibonacci数だという話をしましたが、34には他にも

34144以下の素数の個数であり、34144もFibonacci数。F_n=\pi(F_m)が成り立つような例はn \geq 2では

F_2=\pi(F_3), \ F_3=\pi(F_4), \ F_4=\pi(F_5), \ F_6=\pi(F_8), \ F_9=\pi(F_{12})

しか知られていない。

34は(重複を含めた)素因数の和が素数となるような最小のFibonacci合成数。

34=2 \times 17, \ 2+17=19.

6F_n-1, \ 6F_n+1がともに合成数となるような最小のFibonacci数n \geq 1

\begin{align} &6F_1-1 = 5, \quad 6F_1+1=7 \\
&6F_2-1 = 5, \quad 6F_2+1=7 \\ 
&6F_3-1 = 11, \quad 6F_3+1=13 \\
&6F_4-1 = 17, \quad 6F_4+1=19 \\
&6F_5-1 = 29, \quad 6F_5+1=31 \\
&6F_6-1 =47, \quad 6F_6+1=49=7^2 \\
&6F_7-1 = 77=7\times 11, \quad 6F_7+1=79 \\
&6F_8-1 = 125=5^3, \quad 6F_8+1=127 \\
&6F_9-1 = 203=7\times 29, \quad 6F_9+1=205=5\times 41 \end{align}

などの性質が知られています。これらはささやかな性質ですが、今日おすすめしたい一押しの性質が次の定理です。

定理 34は偶半素数であるような唯一のFibonacci数である。

半素数であって偶数であるようなものを偶半素数と呼んでいます。この定理は「17は連続するFibonacci数の平均となるような唯一の素数」と表現することもできます。

証明には次の有名定理を使います。

Carmichaelの定理 n6でも12でもないような3以上の整数であれば、F_nn未満の正整数mに対するF_mの素因数としては現れないような素因数を必ず有する。

この定理の一般化を以前紹介したことがあり、

integers.hatenablog.com

関連するZsigmondyの定理は証明を紹介しています。Carmichaelの定理の証明は飛鳥さんの教科書Fibonacci数(定理2.3.8.)で読むことができます。

\omega(n)nの相異なる素因数の個数とします。

integers.hatenablog.com

補題1 n > m2以上の整数であってmn \neq 6, 12であるようなものとする。このとき、mnが互いに素であれば
\omega(F_{mn}) > \omega(F_m)+\omega(F_n)
が成り立つ。

証明. 原始的約数の記事の命題よりF_m \mid F_{mn}かつF_n \mid F_{mn}であり、飛鳥さんの教科書の命題1.2.3.より

\mathrm{gcd}(F_m, F_n) = F_{\mathrm{gcd}(m, n)}

が成り立つので、\mathrm{gcd}(m, n)=1の仮定より\omega(F_{mn}) \geq \omega(F_m)+\omega(F_n)がわかる。そうして、Carmichaelの定理よりF_{mn}F_mF_nの持たない素因数を持っているため等号を外すことができる。 Q.E.D.

補題2 (Bugeaud-Luca-Mignotte-Siksek) nを正整数とする。\omega(F_n) \leq 2であれば、n=1, 2, 4, 8, 12または奇素数lを用いてn=l, 2l, l^2と表される。

証明. 16 \mid nのとき:

\omega(F_{n}) \geq \omega(F_{16}) = \omega(987) = \omega(3 \times 7\times  47) = 3.


24 \mid nのとき:

\omega(F_n) \geq \omega(F_{24}) = \omega(46368) = \omega(2^5 \times 3^2 \times 7 \times 23) = 4 > 3.

pq \mid n, p, qは相異なる奇素数のとき: 補題1より

\omega(F_n) \geq \omega(F_{pq}) > \omega(F_p)+\omega(F_q) \geq 1+1=2

なので\omega(F_n) \geq 3がわかる。

以下、lは奇素数とする。l^3 \mid nのとき: Carmichaelの定理より

\omega(F_n) \geq \omega(F_{l^3}) > \omega(F_{l^2}) > \omega(F_l) \geq 1

なので\omega(F_n) \geq 3がわかる。

2l^2 \mid nのとき: Carmichaelの定理より

\omega(F_n) \geq \omega(F_{2l^2}) > \omega(F_{l^2})  > \omega(F_l) \geq 1

なので\omega(F_n) \geq 3がわかる。

4l \mid n, l \neq 3のとき: Carmichaelの定理より

\omega(F_n) \geq \omega(F_{4l}) > \omega(F_{2l})  > \omega(F_l) \geq 1

なので\omega(F_n) \geq 3がわかる。

12 \mid n, n \neq 12のとき: 奇数m > 1を用いてn=12mと書ける場合を考えれば十分。補題1より

\omega(F_n) = \omega(F_{12m}) > \omega(F_4)+\omega(F_{3m}) \geq 1+1=2

なので\omega(F_n) \geq 3がわかる。以上の結果から主張が従う。 Q.E.D.

定理の証明. 飛鳥さんの教科書の命題1.1.14.よりFibonacci数F_nが偶数であるための必要十分条件はn3の倍数であることなので、補題2と合わせてF_nが偶半素数であればn=3, 6, 9, 12しか候補がない。F_3=2, F_6=8, F_9=34, F_{12}=144なので定理が成立することが確認できた。 Q.E.D.