インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

π(x)>π(2x)-π(x)

さっき起きました。

最近は「素因数分解の一意性」とか「素数定理」などに想いを馳せることが多いのですが、Twitterでいつも通り「素数定理」で検索しました。

すると、「式変形チャンネル」さんという方の次の記事を見つけました。

okimath.com

計算は追ってないですが、 いわゆる"de la Vallée Poussinの素数定理"を用いて、十分大きいxに対して\pi(x)>\pi(2x)-\pi(x)を示しています。

これを見て、effectiveにはどうなんだろうかと思ったのでRosser-Schoenfeld (1962)のTheorem 1を使ってみましたが出なさそうでした(cf. Corollary 3)。

そこで、Dusart (1999)を参照すると、

\displaystyle \frac{x}{\log x}\left(1+\frac{0.992}{\log x}\right)\leq \pi(x),\qquad x\geq 599,

\displaystyle \pi(x)<\frac{x}{\log x}\left(1+\frac{1.2762}{\log x}\right), \qquad x>1

と書いてあります。証明は追ってないですが、ここでは正しいと仮定しましょう。すると、x\geq 599

\displaystyle 2\pi(x)-\pi(2x)> \frac{2x}{\log x}\left(1+\frac{0.992}{\log x}\right)-\frac{2x}{\log\left(2x\right)}\left(1+\frac{1.2762}{\log\left(2x\right)}\right)

となります。https://www.wolframalpha.comを使用すると

f:id:integers:20200415053942p:plain

と出力され、Desmos | Beautiful, Free Mathを利用すると

f:id:integers:20200415054237p:plain

だったので、x>1でこれは正だと思われます。というわけで、幾つかの信用仮定のもと、所望の不等式はx\geq 599にeffective化されました。

https://www.wolframalpha.comを使用すると

f:id:integers:20200415054621p:plain

と出力されるので、x>1

\pi(x)\geq \pi(2x)-\pi(x)

が成り立ち、xを整数に限定して考えて、等号成立はx=2,4,10のみだろうということがわかりました。

10、君にはこんな性質があったんだね。

effectiveな不等式*1について、もっと強いことが知られているということをご存知の方がおられましたら文献を教えて頂けますと喜びます。

それでは皆さん今日も1日頑張りましょう。

*1:Dusartの結果ではなく、本題の不等式関連。