インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

『高校数学の美しい物語』発売!

「高校数学の美しい物語」という私がいつも拝見している大変素晴らしいサイトがあります:

mathtrain.jp

このサイトの内容の一部をまとめた同名の書籍が発売されたので、さっそく購入しました*1

まだ全部は読んでいませんが、高校数学の範囲だけでわかる内容に限定しているにもかかわらず、大学受験対策を目的としない、数学の美しく楽しい話題を提供していることが特徴的な本となっています。

例えば、次の記事が本に収録されています:
二次関数の決定とその背景 | 高校数学の美しい物語

この記事では「(一変数の)n次多項式はn+1個以上の根をもつことはない」という有名事実がキーポイントの一つとなっています。ところで、変数の数が2以上であるような多項式についても同じことが言えるでしょうか?

答は否定的で、例えばx^2+y^2=12次式ですが無数に解*2をもちます。というわけで、一変数のときと全く同じことは成り立たないことがわかりますが、代わりに次の問題を解いてみてください:

問題 実数または複素数を係数とするk変数多項式 f(x_1, \dots, x_k)が次の条件を満たすならば f=0であることを証明せよ*3: (条件) 任意の整数の組(n_1, \dots, n_k)に対して f(n_1, \dots, n_k) =0 が成り立つ。

ちなみに私は二通りの解答をもっていますが、読者の挑戦によって他の証明を知ることができれば嬉しいです!

追記) 答えを書きました:
integers.hatenablog.com

*1:著者のマスオさんは私と同じく二十代ということで驚きました。

*2:実数解を無数に持つことは自明ですが、有理数解も無数にもちます。

*3:言葉の意味が分かる人は「標数0の体係数」としてください。標数 > 0のときはどうなるでしょうか?