Diophantusは次のような興味深い3つ組を発見しました:
3つ組
すなわち、どの2つの数を取っても、その積にを加えれば平方数となる3つ組なのです。このような自然数の3つ組をDiophantusの3つ組と言います。
この記事だけの記号として、ではなくと書いたら、と仮定されているものとします(4つ以上でも同様)。
疑問:Diophantusの3つ組は無数に存在するか?
答はYes!
なんと、Diophantus自身が証明しています:
を自然数とすると、はDiophantusの3つ組である。特に、Diophantusの3つ組は無数に存在する。
証明. 計算です:
Q.E.D.一般にDiophantusのタプルが考えられます:
自然数のタプルがDiophantusのタプルであるとは、が成り立つときにいう。
疑問:Diophantusの4つ組は存在するか?
答はYes!これはFermatが発見しました:
4つ組
これが一番有名なDiophantusの4つ組です*1。ところで、1969年にBakerとDavenportは次の定理を証明しました:
がDiophantusの4つ組ならばである。
これから、特にはDiophantusの5つ組には延長できないことがわかります。
疑問:Diophantusの4つ組は無数に存在するか?
答はYes!
Diophantusの3つ組からDiophantusの4つ組を作る手続きがあります:
がDiophantusの3つ組であると仮定する。すると、なる自然数が一意的に定まり、とする。このとき、はDiophantusの4つ組である。
証明. 単純なる計算で証明できる:
Q.E.D.なる形のDiophantusの4つ組を正則なDiophantusの4つ組とよぶ。
Diophantusの5つ組はあるの?
答は恐らくNo!
すなわち、次が予想されています:
また、数値計算から次も予想されています:
証明. 予想2が正しいと仮定して、Diophantusの5つ組が存在したと仮定する。このとき、定義からおよびはともにDiophantusの4つ組である。従って、予想2から
となって矛盾する。 Q.E.D.
次のような先行研究があります:
Diophantusの5つ組は有限個しか存在しない。また、Diophantusの6つ組は一切存在しない。
Diophantusの5つ組の個数は個を超えることはない。
追記) 予想1は解決宣言されています。
integers.hatenablog.com
他のDiophantus条件への一般化
以上において解説してきたDiophantusの問題の一般化がBrownおよびDujellaなどによって研究されています:
を整数とする。このとき、自然数のタプルがDiophantus条件を満たすとはが成り立つときにいう。
この一般化に対して彼らは次の結果を証明しています:
をで割った余りがであるならばを満たす4つ組は存在しない。
をで割った余りがでない場合、更にを満たせばを満たす4つ組が必ず存在する。
一方、次の予想は非常に難しい予想のようです:
ならば、を満たす4つ組は存在しない。
特に、を満たす4つ組も存在しないと予想されています。これについては、昨日の記事
integers.hatenablog.com
をご覧ください。
に関する先行結果として次が知られています;
を満たす5つ組は存在しない。また、4つ組が存在すれば、である。
を満たす4つ組の個数は個を超えることはない。
他にも多数の先行結果が知られています。
*1:全部素数の二乗!