前回の記事で虚二次体の類数に関する表を眺めました。
表を見ていると自然に疑問に思うことですが、実は次が証明されています:
一方、次は未解決問題だと思います*1:
これに対して、次の定理は昔から知られています:
この定理2の証明をAnkeny-Chowla(1953)に従って紹介します*2。
証明. は偶数なので、
が成り立つ(Landauの記号はで考える)。
は奇数であることに注意。次に、
は
以上であると考えてよいので、
を
以上の素数とするとき、
従って、包含原理より
を得る。最後の変形ではChebyshevの定理を用いた。
であり
なので、十分大なるに対して、
が成り立つ。 Q.E.D.
証明. なので、
と書ける(
は正の偶数で、
を満たす)。
が無平方という仮定から
は
で割れないため、
が成り立ち、
を得る。ここで、上記記号はLegendre記号である。平方剰余の相互法則 - INTEGERS
よって、二次体論によりイデアルは完全分解する。すなわち、
の素イデアル
が存在して、
、
(共役イデアル)、かつ
が成り立つ。自然数を
と定める。ここで、は
の分数単項イデアルのなす群である。類数の定義より
が成り立つため、
を証明すればよい。
で各々の因子は互いに素なので、
であり、
。従って、
と仮定して矛盾を導けばよろしい。
を
の整数環とする。このとき、或る
が存在して
と書ける。
は偶数なので、
が偶数であることと合わせると
である。すなわち、
が成立。よって、
が存在して
と書ける。このとき、
なので、を得る(両辺ともに正なので他の単数倍の組み合わせはあり得ない)。
なので、の仮定より
となってが従う。しからば、
となって素イデアル分解の一意性より
を得る。これは矛盾。 Q.E.D.
定理2の証明
倍数を得ることを考えるにあたって、はいくらでも大きな倍数に取り換えてかまわない。依って、補題1および2から我々は類数が
の倍数となるような虚二次体を少なくとも
個入手することが可能である。手中にあるどの体の類数をも割り切らないようになるまで
を類乗した
を考えよう。この
に対して
個以上の類数が
の倍数であるような(従って
の倍数でもある)虚二次体を得ることができるが、これは
の定義から先ほど得た体達とは相異なる。すなわち、このプロセスによって
の倍数であるような類数をもつ虚二次体を無数に手に入れることが出来る。 Q.E.D.