超越数の存在は1844年にLiouvilleによって初めて証明されました。この記事ではLiouville数について簡潔にまとめます。
Liouville数の例を一つ上げておきます:
証明. は小数としての二進法表示においていくらでも長くが続く区間があるので(そしても無数に現れる)、無理数である(周期的ではない)。正整数を任意に取る。このとき、有理数 を
と定義する。は無理数なので
である。一方、
と評価できるため、がLiouville数の定義を満たすことが確認された。 Q.E.D.
証明. の整数係数最小多項式を とする()。とし、をと異なる の相異なる根全体とする*1。正の数 を
を満たすように任意にとって固定する。この に対して主張が成り立つことを背理法で証明する。すなわち、或る整数 に対して
であると仮定する。このとき、
なので、 及び がわかる。平均値の定理によって、と の間の実数 であって
なるものが存在し、このとき、 なので
及び
が成り立つ。なので、
となって、矛盾に到達する。 Q.E.D.
証明. をLiouville数とし、が代数的数と仮定して矛盾させる。まず、が有理数であると仮定する。このとき、整数 が存在して、と書ける。なる正整数をとると、任意の整数 であって なるものに対して、
となる。これは がLiouville数であるという仮定に反する。次に、が代数的無理数であると仮定する。の次数をとして、補題の正定数をとる。なる正整数をとると、がLiouville数であることから或る整数が存在して
と評価できるが、補題より
でなければならない。これは矛盾である。従って、は超越数である。 Q.E.D.
*1:のときは考えない