バーゼル問題の証明法はたくさん知られています。当ブログではEulerの方法と高校数学のみを用いる証明を紹介しただけでした。
最も短い証明の一つは
fibonacci-freak.hatenablog.com
で紹介されています。も もともに周期なので、
で紹介したKontsevich-Zagier予想の哲学に則った証明が存在するはずです。Calabiの方法は三角関数を使用していますが、次のように周期間の基本変形のみで証明を書き下すこともできます。
を二通りで計算する。まずは、等比級数の和の公式を用いて項別積分することにより
との周期としての表示が得られるが、
と変数変換すれば、Jacobianは
なので、
が得られる。これを、更に と変数変換したものと組み合わせることによって
と計算できる。 Q.E.D.
さて、この記事では決して短くはないけれども個人的に好きな証明を紹介したいと思います。
準備
証明. はに比例するので(n次元球の体積 - INTEGERS)、
を示せばよい。また、は正整数を動く場合を考えれば十分である。における原点中心の単位球を とすると、
が成り立つ。
とし、
とする。ただし、はがをによって小次元立方体に分割したブロックのうち、座標の各成分が最小な点(ブロックの角と呼ぶことにする)であって に属するようなものである場合は 、その他の場合は と定義する。の点のうち、ある一つの成分が で他の成分が であるようなもの(個ある)以外の に属する点にはその点がブロックの角になるような分割したブロックが一意的に定まるので、
が成り立つ。よって、
が従う。ところで、Riemann和の定義により、を 上の特性関数とすると
が成り立ち、これは の体積、すなわち に等しい。 Q.E.D.
証明. とりあえず
と計算できる。よって、
に注意すれば所望の等式が得られる。 Q.E.D.
バーゼル問題の証明
を正整数とし、を を四つの平方数の和として表す表し方の総数とすると(ただし、平方数には を含める)、原点中心半径 の次元球に含まれる格子点の数は
と数えることができる。ここで、Jacobiの四平方の定理より なので、
と書ける。よって、補題2より
と計算できるので、①より
が得られた。一方、これは補題1より
に等しい。すなわち、バーゼル問題が解決する。 Q.E.D.
バーゼル問題は「平方数」と「円周率の二乗」が結びつく公式ですが、これらが次元球によって見事に結びつく様が大好きです。
*1:ここでは の元とする。