§6 Gowers anti-uniformity を二回に分けて読んでいきます。
で定義する。は
にノルム
を付随して得られるBanach空間。
感覚としては、Gowers一様性ノルムが小さければ小さいほどGowers一様性が高く、Gowers反一様性ノルムが小さければ小さいほどGowers反一様性が高いと考えます。次の命題はこれらのノルムの双対性、及びこれらの概念がある意味で両立し得ない(Gowers反一様性が高ければGowers一様性が低い)ことを表します。
証明. のときは自明なので、
とし、
とする。このとき、
なので、定義より
が成り立つ。なので、所望の不等式が示された。 Q.E.D.
注意: Tao(2006) §5(その二)の命題1より、任意の に対して
が成り立つので、集合として
が成り立つことがわかります。また、Tao(2006) §5(その一)で述べたように、実は集合として が成り立つので、
であるのですが、この事実はGreen-Taoの定理の証明では用いません。
証明. がノルム性質を満たすことを示せばよい(ベクトル空間になっていることは同時に確認できる)。非負性は定義から明らか。斉次性は内積の斉次性から従う。非退化性を示すために
を仮定すると、命題1より
が成り立つ。よって、内積の非退化性から が従う。最後に三角不等式を証明する。
をとると、
と不等式評価できるので、であり、三角不等式が成立する。 Q.E.D.
このとき、次の補題が成立します。
が成り立つ。更に、を
-擬ランダム測度とし、
が任意の
に対して成り立つならば、
証明. Gowers一様性ノルムの定義により
と一つ目の等式が得られる。二つ目の等式を示す。ならば
なので、
と仮定してよい。任意の
に対して
を示せばよい。理由: これが示されれば、特に の場合に
が成り立つので、Gowers反一様性ノルムの定義より
を得る。よって、である。また、
と仮定しているので、
とすれば、一つ目の等式より
が成り立つので、
が成り立つ。よって、二つ目の等式の成立が言える。 さて、を
と定めれば、
とGowers内積で書くことができるので、§5(その一)で示したGCS不等式より
が得られる。こうして、二つ目の等式が示された。
が任意の
が成り立つと仮定する。最後の不等式を得るためには
が(に対して一様に)成り立つことを示せばよい。理由:
なので、この不等式が示されれば
が得られる。 定義より
と表されるが、§3の補題より は
-擬ランダム測度なので、
-線形形式条件により、これは
に等しい(線形形式条件の定義における
が全て
の場合。実は
の線形形式条件を使うのはこの部分のみ)。 Q.E.D.