この記事でGoldston-Yıldırım型定理Bを証明します。
証明. 前記事でのGoldston-Yıldırım型定理Aの証明と同様の流れで証明する。実際、として全く同じ変形を実行することができ、
の定義を
と変更すれば前記事補題3の直前まではそのまま成立する。線形形式の一次独立性がなくなっているので、補題3に対応する内容から議論を始めよう。
証明. のときは
なので
である。
かつ
のとき、全ての
に対して
となるような
の個数を数えればよいが、
が全ての
に対して等しいときに限り一つ存在し、そうでないときは一つもない。このことから、残りの主張が全て従う。 Q.E.D.
よって、
と書ける。ここで、
である。これを次のように積に分ける:
収束領域は後で調べることにして、に対して無限積を
と定義すると、
が成り立つ。前記事と同じくは
全体で有理型。
の収束領域
証明. については前記事と全く同じ。
については、
のときに
の分母分子に現れる
の項の部分が異なるが、
の部分はやはり消えるように定義されているため、全く同じ議論がそのまま通用する*1。よって、
に関する主張にのみ新しい議論が必要となる。
は有限積
なので収束性は問題にならない。数論的関数 ω(n) - INTEGERSの記号と補題を用いると、
であるが、各は条件
を満たすので、
であり、
が成り立つ。さて、を
階微分することを考える。このとき、ライプニッツ則*2から
個の項の和として表わすことができ*3、各項の各因子(
)は
の定義より
上で
で上から押さえられる*4。よって、評価
が成り立つことがわかった。この公式のの場合を考えて、
を示すには
であることから、
を示せばよい。対数を取れば
が示したい評価となるが、に対して
であり、
なので
に帰着される。
と評価できるが、Abelの総和法より なので所望の評価が得られる。
最後に、より
なので、
の成立がわかる。 Q.E.D.
前記事補題5を認めた上での定理Bの証明の完成
として前記事の補題5を適用する。Leibniz則と補題2より
および*5
が成り立ち、
と計算されるので、の増加速度が十分遅ければ前記事の補題5の帰結は
となる。