この記事でSzemerédiの定理の組合せ論的証明を完成させる。
帰納的ステップの証明
とし、
は或る
に対して
を含むが
を含まないと仮定する。
が成り立つと仮定する。以下、
とし、
が成り立つことを示す。
パラメータの選択
を任意にとって、
を
を満たすようにとる。ここで、
は後述のもの。
なる
をとる。
を
を満たす集合とし、
をその有限色による塗り分け写像とする。
とする。このとき、
である。記事5の系より非有界な二重カウンティング性質を満たす
およびパーフェクトカラー
が存在して、
および
は
に沿った密度をもち、
,
が成り立つ。
および
を
,
(
は記事4の命題のもの)。
(記事9の主張2のもの)。
(記事10のカウンティング補題のもの)。
(記事4の③のもの)。
.
(
はカウンティング補題の帰結式に現れる
の定数)。
(定数の定義は後述)。
を満たすようにとる(証明で使用する順に条件を書いている)。
およびカウンティング補題の適用
が非有界なので、
-AP
が存在する(
)。記事4の命題の(i)より、高々
個の例外を除く
に対して
が成り立つ。これより、を
と定義すれば、が成り立つ。色塗り写像
を
で定義する。ただし、とし、写像
を
に
と拡張しておく。すると、
より
-APの族
が存在して次が成り立つ( (ii)は使わない)。
-(i): 任意の
に対して、
は
に含まれる。
-(iii): 任意の
に対して、
は
の
に対する成分
にしか依存しない。
-(iv): 任意の
に対して、
をとると
-AP
が存在して、
上では
と成分が一致するような
に対して
が成り立つ。
各に対して、
-AP
を
で定義する。このとき、-AP族
は記事10のカウンティング補題の条件(i)〜(iii)を満たしている。理由: 条件(i)は
-(i)と
の定義から、条件(ii)は
-(iii)と「
」であることから、条件(iii)は
-(iv)より
とすればわかる。
従って、カウンティング補題(の場合)より
が存在して、任意の
に対して
が高々個の例外を除く
に対して成立する。
goodな
-AP族の存在
を
と定義する()。
とする。がgoodであるとは
であることとし、そうでない場合はbadであるということにする。このとき、badなの個数は高々
である。-(i)より
なので、記事4の③より
であるので、②の一番内側の和の項数はである。
なので*1、①より高々
個の例外を除く
に対して
が得られる。よって、
なので、②よりbadなの個数は高々
個であることがわかった(定数をとする)。
とする。任意の
に対して、
が成り立つ。理由:
に対して
-AP
は
の元である。 このとき、①より高々
個(定数を
とする)の例外を除く
に対して
が成り立つ。よって、であって、
の全ての元がbadであるようなものは高々
個である。理由:
個より多かったと仮定する。ただし、
であるようにとっておく。このとき、badな
の個数は少なくとも
となって矛盾する。よって、高々個しかない。
以上により、は区間
であって、任意の
の元に対して、goodな
-AP
が存在するようなものを含む(これらを固定する)。理由:
を
ずつ区切った際に、どの区間も
の全ての元がbadな
を含んだと仮定する。すると、
であって、
の全ての元がbadであるようなものが少なくとも
個は存在することとなり矛盾する。
-AP族
の構成
そうして、に対して
-AP
を
と定義し、に対して
の(i)〜(iv)が成立していることを証明する(
は
上では
の成分と同じで、
では
の成分と同じものとする(
) )。
-(i), (ii)の証明
を任意にとる。
なので
に対して
が成り立つ。と
は最初の
の成分は一致しているので、カウンティング補題の条件(ii)より、③から
が従う。これは-(ii)の成立を意味する。また、
に関しては
がgoodであることと
であることから
が成り立つ。これで、-(i)が示された。
-(iii)の証明
をとる。
は
について
であると仮定する。このとき、示したいことは
である。のときは
-(ii)から従うので、
とする。すると
なので
が成り立つ。また、は
の成分は一致しているので、
-(iii)より
が成り立つ。これと⑤を合わせると、④の成立がわかる。
-(iv)の証明
および
をとる。
は
上で
の成分と一致するようなものとする。
のとき:
に注意。
を
上では
の成分で
上では
の成分であるようなものと定める。すると、
は
上で
の成分と一致する。よって
と-APを定義すると、既に述べたように
-AP族
がカウンティング補題の条件を満たしていることから、その条件(iii)より
が成り立つ。-AP
を
と定めると、
と所望の関係式が得られる。
のとき:
なので、
を動かしても
は一意的で動かないことがわかる。そうして、
はを動かすと
-APをなすことがわかる。
以上で帰納的ステップの証明が完了し、従ってSzemerédiの定理の証明が完全に完了する。 Q.E.D.
*1:は
で決まる。