素数公式記事第三弾。
定理 (Schumacher, 2015) 番目の素数をとする。このとき、が成り立つ。
数式の正確な読み方は証明を見れば分かります。
補題1 に対して、が成り立つ。ここで、は素数判定関数*1。
証明. まず、
が成り立つことを示す。が合成数ならば、整数を用いてと書ける()。このとき、(1)の右辺の二重積の中に
が現れるから、(1)の右辺はとなる。次に、が素数であるとしよう。このとき、
と因数分解される(はの原始乗根全体を走る)ので、
を得る。各に対して、
はの原始乗根全体に一致する。従って、
と計算でき、(1)が示された。であることと、
に注意すれば、所望の等式が得られる。 Q.E.D.
補題2 自然数に対してKroneckerのデルタはと表示できる。また、が成立する。
証明. 一つ目の式は自明。二つ目は
および
が成り立つことから分かる。 Q.E.D.
Rosser-Schoenfeldの定理よりなので*2、補題2より
と変形できます。従って、であることから、補題1よりSchumacherの素数公式の証明が完了します(のときも成立している)。
参考論文
R. Schumacher, The prime number double product, International Mathematical Forum, Vol. 10, (2015), no. 2, 57-67.
*1:cf. integers.hatenablog.com
*2:ここに深い結果を用いる必要があるわけではないのはRegimbalの素数公式の記事で述べた通り。で押さえているのはSchumacher氏の好みと思われる。