先日紹介した思い出の図形問題
の解答を幾つか紹介します。
解答1
という条件から、図のように
となるように点を導入する。このとき、かつが成り立ち、この状況において四角形が等脚台形になっていることはよく知られた通り。よって、錯角を見ればがわかる。
解答2
図のようにとなるように(すなわち、となるように)補助線を引く。このとき、二辺夾角相等により
が示せるので、を得る。
以上、二つの解答は直接的な証明ですが、解答1は補助線を2本使うのに対し、解答2は補助線1本で済むというのが中学生時代の私の小さな喜びだったわけです。この問題を色々なところで人に話すと、解答2を答えてくれる人もたくさんいます。一方、以下で述べる解答3、4は間接法です*1。
同一法
問題の条件を満たす図形の存在は"up to similarity"で一意的であることがすぐに分かります。なので、であって問題の条件が全て成立するような図形を構成出来れば証明が完了します。論理的にはそれだけの話ですが、受験業界では同一法という用語を用いることが多いようです。同一法による証明を紹介しましょう。
解答3
図のように底角がであるような二等辺三角を考え、となるように線分上に点をとる。このとき、を示せばよいが、なので、であり、を得る。
なお、この図形は正十八角形の対角線のみで作ることができます(正十八角形の一辺に対する円周角はなので、容易に角度計算ができます)。
解答4は背理法です。
解答4
と仮定する。このとき、となり、従ってとなる。すると、となって、の内角の和がより小さくなってしまう。しかし、我々は今Euclid幾何学の世界にいるのであった。としても同様の矛盾が生じ、でなければならない。
*1:それぞれ、同僚のゼリーさん、あーくさんから教えていただきました。