インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

東大の碁石の問題

タイトルの問題は東大文系2001 白石180個と黒石181個の合わせて361個の碁石が横に一列に並んでいる。碁石がどのように並んでいても、次の条件を満たす黒の碁石が少なくとも1つあることを示せ。 (*)その黒の碁石とそれより右にある碁石をすべて除くと、残り…

butchi氏の準加算について

日曜数学者のbutchi氏が準加算なるものを考察していらっしゃるため、ここにまとめを作っておきます。議論の場となれば幸いです。注意 当ブログでは基本的に自然数といえば正の整数を意味していますが、この記事においては以上の整数を自然数とよぶことにし、…

数列の完全性に関するBrownの判定法

今、我々はGrahamの定理の証明を理解することを目標としています: integers.hatenablog.comこの記事では証明のための準備として、数列の完全性に関するBrownの判定法を紹介します。定義 正の実数からなる数列に対し、集合をで定める(の相異なる項の有限和と…

エジプト分数とグラハムの定理

正の有理数であって、分子がであるものをエジプト分数、または単位分数といいます。リンド・パピルスの記録によれば、古代エジプト人はエジプト分数を好み、与えられた正の有理数をのようにエジプト分数の和に分解していたようです(エジプト分数分解)。ただ…

Leyland素数

京都大学の入試問題としても出題された、「素数を用いてと表すことのできる素数はのみである」ということに関連する記事を以前書きました:integers.hatenablog.com上記記事では巡回和素数という方向性の一般化を提案しましたが、この記事ではを素数とは限ら…

1/2+1/3+1/6=1 多重調和和の非整数性

実は、今月初めにパソコンが壊れてしまったため、ブログを二週間近く更新出来ませんでした。大変、申し訳ございません。新しいパソコンが届いたので更新を再開しようと思います。以前、調和数がの場合を除いて整数にはならないことを証明しました:16843:ウ…

1 - Σ1/p^2 > 0.54 素数と量子計算

せきゅーんです。「素数と量子計算」という大それたタイトルですが、これらが関係あるのかは私は知りません。というか、量子計算の勉強は私はしたことがありません。今回の記事の目的は、次の不等式を証明することです:次の不等式を示せ:この問題は物理学…

与えられた数の倍数となるような類数をもつ虚二次体の無限性について

前回の記事で虚二次体の類数に関する表を眺めました。integers.hatenablog.com表を見ていると自然に疑問に思うことですが、実は次が証明されています:定理1 与えられた数を類数にもつような虚二次体の個数は有限個である。一方、次は未解決問題だと思いま…

虚二次体の類数表(その一)

より大きい無平方な整数を用いてと表されるとき、のことを虚二次体と言います。一般に有限次代数体に対して、その分数イデアル全体のなす群および単項分数イデアル全体のなす群が定まり、のことをのイデアル類群と言います。イデアル類群は有限群であり、を…