インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

Grahamの定理

Grahamの第二論文を読む ー③

過去の記事を読むには上のカテゴリーをクリックしてください。前の記事で導入した記号・用語については説明を省略しています。前回示した定理2によって、幾つかの仮定のもと、を具体的に書き表すことが出来ました。その仮定におけるの条件を強めることによ…

Grahamの第二論文を読む ー②

過去の記事を読むには上のカテゴリーをクリックしてください。前の記事で導入した記号・用語については説明を省略しています。この記事では次の定理を証明します:定理2 を正の実数列であって、次の二条件を満たすようなものとする: 自然数が存在して、な…

Grahamの第二論文を読む ー①

過去の記事を読むには上のカテゴリーをクリックしてください。前の記事で導入した記号・用語については説明を省略しています。前回までにGrahamの第一論文を読み終えました。 一連のプロジェクトの目標は integers.hatenablog.comで紹介したGrahamの定理を証…

Grahamの第一論文を読む ー③

過去の記事を読むには上のカテゴリーをクリックしてください。定理1 を正の整数からなる数列であって、 は半完全 は非有界 は有界 を満たすようなもの、 (はを満たす正整数)を は-近似可能 はのある項を割り切る を満たすような正の有理数とする。このとき…

Grahamの第一論文を読む -②

過去の記事を読むには上のカテゴリーをクリックしてください。 定義 定義1 を正の実数からなる数列とする。このとき、が半完全であるとは、ある非負整数が存在して、が成り立つときにいう。定義2 正の実数からなる数列が半完全であるとする。このとき、定…

Grahamの第一論文を読む -①

Grahamのエジプト分数に関する有名な結果の証明を完全に理解しようというプロジェクトを勝手に実施中です。このプロジェクトは integers.hatenablog.comからスタートしました。Grahamの定理の証明は非常に初等的な手法で実行されるのですが、Brownの判定法in…

十分大きい任意の整数は相異なるn乗数の和で表すことができる。

この記事では次の定理の証明を解説します*1:定理 (Sprague, 1947) を自然数とする。このとき、ある整数が存在して、より大きい整数は全て相異なる乗数の和として表すことができる。ただし、この記事全体において乗数と言えば「自然数の乗数」を意味するもの…

数列の完全性に関するBrownの判定法

今、我々はGrahamの定理の証明を理解することを目標としています: integers.hatenablog.comこの記事では証明のための準備として、数列の完全性に関するBrownの判定法を紹介します。定義 正の実数からなる数列に対し、集合をで定める(の相異なる項の有限和と…

エジプト分数とグラハムの定理

正の有理数であって、分子がであるものをエジプト分数、または単位分数といいます。リンド・パピルスの記録によれば、古代エジプト人はエジプト分数を好み、与えられた正の有理数をのようにエジプト分数の和に分解していたようです(エジプト分数分解)。ただ…