多項式とその導関数の根の分布に関して、次の予想があります:
予想(Sendov, 1959年) を 以上の整数とし、 を 複素数係数の 次多項式であって、その根が全て単位円周の内部または周上に分布しているものとする。このとき、 の任意の根について、その根を中心とする半径の円の内部または周上に必ず の導関数 の根が存在する。
この予想のある種の最適性について、 とすると(ただし、 は単位円周上の好きな点とする)、 の根は原点のみであり、 の任意の根は単位円周上に分布しています。つまり、 のどの根についても、その根を中心とする半径 の円周上に のただ1つの根である原点があります。
の場合を考えてみましょう。 と仮定してよく( は複素数)、 の根を , とし、 と仮定します。このとき、 なので、 の根は ただ1つです(2つの根の中点)。これと との距離はともに ですが、単位円周の内部または周上にいる と の距離は直径である 以下ですから、確かに、 が成り立っています。
知られている結果
定理(Brown–Xiang, 1999年) でSendovの予想は正しい。
定理(Tao, 2022年) 十分大きいすべての でSendovの予想は正しい。
参考文献
[1] J. E. Brown, G. Xiang, Proof of the Sendov conjecture for polynomials of degree at most eight, J. Math. Anal. Appl. 232 (1999), 272–292.
[2] T. Tao, Sendov’s conjecture for sufficiently-high-degree polynomials, Acta Math. 229 (2022), 347–392.