インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

明示的ABC予想

ABC予想について述べた記事integers.hatenablog.comにおいて「強い予想」として次を述べていました:予想 任意のABCトリプルに対して不等式が成り立つ。この予想は A. Granville, T. J. Tucker, "It’s as easy as abc", Notices of the AMS, 49 (2002), 1224…

スターリングの公式

スターリングの公式のRobbinsによる初等的な証明の解説記事。

凸多角形を分割したときの小凸多角形の辺数の平均について

凸n角形(3 <= n <= 7])を二つ以上の凸多角形に分割するとき、各小多角形の辺の数の平均は6より小さいことを示せ。

Carlitzの恒等式

は関-Bernoulli数*1とする。このとき、次の恒等式が成り立つ: 証明*2. 次のように母関数を計算する:これはとの入れ替えで不変である。 Q.E.D. *1:この記事では. *2:by Prodinger.

eが二次の有理数係数方程式を満たさないことの証明

が無理数であることはintegers.hatenablog.comで証明しており、が超越数であることもintegers.hatenablog.comで証明していますが、この記事では古くから知られている*1「が二次の有理数係数方程式を満たさないことの初等的証明」を紹介します。これは、の無…

ハイパーグラフ除去補題ー4

定義 記事3の正則化補題の記号・仮定・帰結を考え、とする。各に対して、のアトムをとる。このとき、(これは空集合かのアトム)がgoodであるとは、任意のおよびに対して次の二つの評価が成り立つときにいう: −① −②が負となるような状況は扱わない。, のアト…

素数魔方陣ー2

Rudolf Ondrejkaの素数魔方陣 という素数は、の素数魔方陣*1のうち定和が最小となるようなものの中心の数です。 この素数魔方陣はRudolf Ondrejkaによって発見されたものです。 大きいサイズの素数魔方陣の存在性 ちなみに、魔方陣があった場合、それを構成…

鞄とその和集合の比較ー1

Cauchy-Davenportの定理 を素数とし、を巡回群の空でない部分集合とする。をと定義する。このとき、次が成り立つ:Cauchy-Davenportの定理 これより、であればの任意の元はの元との元の和として表すことができることがわかる。証明. とする。主張 が成り立つ…

ハイパーグラフ除去補題ー3

前正則化補題 , とし、関数は任意のに対してを満たすとする(に依存してもよい)。各に対して加法族はを満たすとする。このとき、および各 毎に加法族の組であってを満たすものが存在して、次が成り立つ: −① −② −③ −④前正則化補題 Szemerédiの正則化補題 弱正…

どの三点も同一直線上にはなく、どの四点も同一円周上にはない整数距離多角形

有名問題 どの三点も同一直線上にはなく、どの四点も同一円周上にはない平面上の点であって、どの二点間の距離も整数であるようなものは存在するか?そのような点が存在する場合、二点間距離の最大値として取り得る最小値をと定義します。現在、が知られてお…

5, 7, 17, 19

相異なる4つの素数であって、どの3つを取っても和が素数となるようなもののうち、4つの素数の総和が最小となるようなものがです*1。 四つ子素数だとが最小のものです。 六つ子素数で同様の性質を満たす最小のものはでとなっています。www.alpertron.com.a…

ハイパーグラフ除去補題ー2

この記事からハイパーグラフ除去補題を証明していく。ハイパーグラフ系を固定する。単に期待値を書いたら上の期待値とする。Terence Taoによる証明の方針はintegers.hatenablog.comと非常に似ている。そこでも扱ったように、上の加法族と に対して条件付き期…

5942636062289

という素数のちょっとした性質を紹介します。次の素数はですが、その間の整数の素因数分解の重複を込めた素因数の個数は全て奇数になっています。

ハイパーグラフ除去補題ー1

この記事から複数記事用いて「ハイパーグラフ除去補題」の証明を行います。参考文献 T. Tao, A variant of the hypergraph removal lemma, J. Combin. Theory Ser. A 113 (2006), 1257–1280. T. Tao, The Gaussian primes contain arbitrarily shaped conste…

29179の各桁の総和は29179の二乗の各桁の総和に等しい

の各桁の数の総和はですが、の各桁の数の総和もとなっています。このような正整数は(の冪のような自明な例を除いても)無数に存在します。定理 (Hare-Laishram-Stoll) とする。進法において、の各桁の総和との各桁の総和が一致するようなの倍数ではない正整数…

大学入試数学〜素数〜

京大2018前期理系問2 京大2018前期文系問3 名大2018前期理系問3 岐阜大2018前期問1 横浜市大2018前期I(1), III(1) 大阪市大2018前期文系問1 東北大2018後期文系問4 早稲田2018[基幹理工、創造理工、先進理工学部]III 京大2017前期文系問2 金沢大2017前期文系…

2^77232917-1:最大の素数更新、発見された完全数の数が50に!

2018年1月3日付で人類が発見した最大の素数の記録が更新されたことが発表されました。GIMPSによって2017年12月26日に発見されたその素数(桁)はでMersenne素数です。これで知られているMersenne素数の個数は個となり、偶数の完全数もで個を数えることとなりま…

マイク・キースの小数

を小数展開すると*1、を挟みながら個の素数が並びます。 赤は素数で青は合成数です。ネタばらしをするとということです。 *1:

メルテンス関数

Mertens関数はで定義されます。ここで、はMöbius関数です: メビウス関数 - INTEGERS 数値例 の次にMertens関数の値がをとるのはです。など。 Riemann予想 Riemann予想は任意のに対してが成り立つことと同値です。Mertens関数に関するこの評価からRiemann予想…