Jacobi記号について簡潔にまとめます。
Legendre記号、平方剰余の相互法則については
をご覧ください。
定義 を正の奇数とし、をと互いに素な整数とする。このとき、Jacobi記号 を次のように定義する: まず、とし、とが素因数分解される場合は と定義する。ここで、奇素数 に対して はLegendre記号とする。
Jacobi記号が準同型写像 を与えることは定義からすぐにわかります。
Jacobi記号に対する相互法則と補充則をまとめましょう。
補題1 を奇数とする。このとき、が成り立つ。
証明. の場合に証明すれば十分(帰納法)。の場合は
であることから従う。 Q.E.D.
第一補充則 を正の奇数とする。このとき、次が成立する:
証明. のときは自明。とが素因数分解される場合は、Legendre記号に対する第一補充則から
が得られるが、補題1より なので、
が示された。 Q.E.D.
補題2 を奇数とする。このとき、が成り立つ。
証明. の場合に証明すれば十分(帰納法)。の場合は
であることから従う。 Q.E.D.
第二補充則 を正の奇数とする。このとき、次が成立する:
証明. のときは自明。とが素因数分解される場合は、Legendre記号に対する第二補充則から
が得られるが、補題2より なので、
が示された。 Q.E.D.
Jacobi記号に対する相互法則 を互いに素な正の奇数とする。このとき、が成り立つ。
証明. またはがの場合は自明。とが素因数分解されている場合は
なので、平方剰余の相互法則より
と計算される。補題1より
なので、相互法則の証明が完了する。 Q.E.D.