クリスマス・イヴ特別記事を書きます。38年ぶりにクリスマスの夜に満月となるそうです。楽しみですね。
私は今日も、明日も数学をします。まさにXmath!
今日、紹介するのは「Fermatのクリスマス定理」です。「Fermatの小定理」でも「Fermatの最終定理」でもなく、「クリスマス定理」。素敵な名前ですね。しかし、これは単に「二平方和の定理」の別称で、既にこの定理については記事を書きました:
何故このように呼ばれるかと言うと、「二平方和の定理が証明できた!」とFermatがMersenneに手紙を送ったのが1640年12月25日だったからだそうです。
Mersenneは「Mersenne数」の人です:
integers.hatenablog.com
なお、Fermatによる証明は出版されておらず、最初に証明を残したのはEulerとされています。
この定理は「Fermatの二平方和定理」や「Fermatの定理」などとも呼ばれていますが、実は最初にこの定理を述べたのはGirardと言われています(1632年。Girardが死んだ年!)。
ここでもStiglerの法則が見られるわけです:
integers.hatenablog.com
Wikipediaには『この定理は、フェルマーによって提起され、オイラーによって解決された。』とありますが、正しくありません。
Girardは代数学の基本定理を最初に主張した人物でもあります。中々すごいですね(証明はしていません)。乗根の記号
の発明者でもあります。
「この定理を最初に主張したのはFermatではなくGirardだ」と主張した人物の一人としてNivenがいるそうです。話が脱線しますが、Nivenと言えば1947年に円周率が無理数であることの簡単な証明を発表したことで有名です。
証明. は自然数)と仮定する。自然数
に対して
とする。なので、
以上の
に対しては
がわかる。一方、
未満の
に対しては
であるから、結局
はいつでも整数。
なので、
も成り立つ。
なので、
最初の議論からこれは整数である。
一方その頃、に対して
なので、
となる。十分大きいをとればこの値は
より小さくできる: 階乗とガンマ関数
こうして、我々はと
の間にある整数を手にすることが出来た。 Q.E.D.
まとめ
- 二平方和の定理に関しては「Girardが最初に予想し、Fermatはクリスマスに証明出来たと宣言して、Eulerがちゃんと証明を書いた」という歴史のようである。名前が安定していない定理であり、なおかつFermatは第一発見者ではないので、せっかくなら「Fermatのクリスマス定理」をどんどん使っていってはどうだろうか?
- Fermatもクリスマスに数学をしていたのだから、みんなも数学しよう!
- Merry Xmath!!
参考文献
I. Niven, A simple proof that is irrational, Bull. Amer. Math. Soc. 53 (1947), no. 6, 509.