インテジャーズ

INTEGERS

数、特に整数に関する記事。

素数魔方陣ー2

Rudolf Ondrejkaの素数魔方陣

59という素数は、3\times 3の素数魔方陣*1のうち定和が最小となるようなものの中心の数です。

17 89 71
113 59 5
47 29 101

この素数魔方陣はRudolf Ondrejkaによって発見されたものです。

大きいサイズの素数魔方陣の存在性

ちなみに、n\times n魔方陣があった場合、それを構成する数をa_1, \dots, a_{n^2}とすると、

a+a_1d, a+a_2d, \dots, a+a_{n^2}d

を並べて魔方陣を作ることができます。例えば通常の3\times 3魔方陣

2 7 6
9 5 1
4 3 8

から

199+1\cdot 210 199+6\cdot 210 199+5\cdot 210
199+8\cdot 210 199+4\cdot 210 199
199+3\cdot 210 199+2\cdot 210 199+7\cdot 210

を作ると、素数魔方陣

409 1459 1249
1879 1039 199
829 619 1669

を作ることができます。つまり、Green-Taoの定理によっていくらでもサイズの大きい素数魔方陣の存在がわかります。

素数多重魔方陣

多重魔方陣(n-魔方陣=各数を2乗、3乗、... 、n乗しても全て魔方陣になる)というものがありますが、こちらも多重魔方陣が一つあると同じ型の素数多重魔方陣*2の無限性がGreen-Taoの定理から保証されます((a+a_id)^nの展開と多重魔方陣の定義からわかる)。

例えば、Walter Trumpが三重魔方陣(定和=870、二乗の定和=83810、三乗の定和=9082800)

1 9 75 74 140 122 55 132 73 58 80 51
22 119 141 8 101 76 27 117 64 98 34 63
33 45 35 106 124 142 95 68 2 84 105 31
41 115 48 49 42 86 135 91 121 116 6 20
62 107 57 12 60 67 130 11 109 138 92 25
66 93 14 43 37 126 89 99 32 16 127 128
79 52 131 102 108 19 56 46 113 129 18 17
83 38 88 133 85 78 15 134 36 7 53 120
104 30 97 96 103 59 10 54 24 29 139 125
112 100 110 39 21 3 50 77 143 61 40 114
123 26 4 137 44 69 118 28 81 47 111 82
144 136 70 71 5 23 90 13 72 87 65 94

を発見しているため、12\times 12素数三重魔方陣は無数に存在する(が、実例は一つも知らない)。

*1:構成する数が全て素数であるような魔方陣。素数魔方陣 - INTEGERS

*2:素数魔方陣かつ多重魔方陣であるようなもの。各数を2乗しても素数魔方陣となるようなものは当然存在しない。