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前回示した定理2によって、幾つかの仮定のもと、を具体的に書き表すことが出来ました。その仮定における
の条件を強めることによって、定理2に現れる各半開区間は非交差(disjoint)になることを示せます。
- 自然数
が存在して、
ならば
は
において滑らかに置換可能ではなく、
ならば
は
において滑らかに置換可能である。
このとき、定理1による等式
証明. のときは
であり、主張は成立している。以下、
とする。
を
を満たすようなの元とし、
かつ、
と
は形式的に異なる和であると仮定する(すなわち、
。
であってもよい)。このとき、
または
のいずれかが成り立つ。
①の場合
と評価できる。最後の評価はが
において滑らかに置換可能ではないことから従う。
なので、
か
が成り立つ。もし、
ならば
からとなって矛盾する。従って、
であり、
を得る。すなわち、。
②の場合
と評価できる。こうして、どちらの場合であってもであることが示された。つまり、この定理の条件下では、
の元
と
が形式的に異なる和であれば値も異なることが分かり、更に互いの距離が
以上離れていなければならないことが分かった。よって、
の元の個数は
個であり、
が
であれば、
である。これで定理の証明が完了する。 Q.E.D.
を決定する一般論が十分な形で得られたので、
のケースに適用しましょう。
が存在すれば、それをと定義し、存在しなければ
とします。調和級数が発散することから
であり、
ならば
が成り立つので、です。Grahamの第二論文を読む ー①の補題3より
が成り立ちます。同記事で示した補題2より
なる
は
において滑らかに置換可能ではないので、定理2および定理3より次が成り立ちます:
これと、定理1を合わせれば次の結論が得られます:
主定理においての場合を考えると、エジプト分数とグラハムの定理で紹介したFibonacci-Sylvesterの定理になっていることが分かります。主定理において
の値のみが非自明ですが、上からの評価が与えられているため、与えられた
に対して
を計算することは有限の時間で実行可能です。
証明 は既に確認済みであり、
なので、が確定する。 Q.E.D.
これで、遂にGrahamの定理の証明が完了します!!!
証明. 補題4よりなので、
であり、
である。よって、主定理より系1が得られる。 Q.E.D.
三乗数の場合もやってみましょう。
証明. Apéry定数の近似値は
であった*1。
よりが従う。 Q.E.D.
証明. 補題4よりなので、
であり、
である。よって、主定理より系2が得られる。 Q.E.D.
次回、Grahamの定理シリーズ最終回!!