を正の整数とし、
を満たすような整数列
を考えましょう。
が等差数列をなすような三項を一切含まないとき、
は(
に関する)
-数列であるといいます。
このとき、ErdősとTuránは次のようなの上からの評価を与えています。
証明の前に-数列に関する基本事項を三つ確認しておきましょう。
基本事項3の証明. を満たすような
-数列
を任意にとる。このとき、
を満たすようなが一意的に存在する。このとき、
は
に関する
-数列なので、
を満たす。また、基本事項2より
からに関する
-数列
が得られるので、
である。以上によって
がわかった。最初にとった-数列は任意であったから
である。 Q.E.D.
定理1の証明
まずはが小さい場合に
の値を順に決めていく。
であると仮定する。項数
の
に関する
-数列が存在する。それは
から
または
から
のいずれかの数を三つ含む。必要ならば基本事項1を用いることによって
から
の数を三つ含むと仮定してよい*1。更に必要ならば基本事項2を用いることによって
を含むとしてよい。
の三つは同時には含まないのだから、
または
を含むことになる。例えば
を含むとすると、
を含むことができないことはすぐにわかる(
が等差数列となる)。このようにして全ての可能性(数通りしかない)を考えるとどの場合であっても等差数列を含んでしまって矛盾する。一方、
は
数列なので
が確定する。
であると仮定する。項数
の
に関する
-数列が存在する。
であることを考慮すると、そのような数列は必ず
を含む。基本事項1を使えば
を含むようにできるが、それについても先ほどのことは成り立つ必要があるので、
を含むとしてよい。この時点で
を含むことはできず、従って
という
-数列であるということになるが、
は等差数列なので矛盾。一方
は
-数列なので
が確定する。
であると仮定する。項数
の
に関する
-数列が存在する。
であることを考慮すると
を必ず含む必要があり、基本事項1を考えると
を含むとしてよい。
を考慮すると、
を含む場合は必ず
も含む必要がある。すると基本事項1を使えば
を含むとしてよい。あと1つどの数を追加しようとも等差数列が作られ矛盾する。一方、
は
-数列なので
が確定する。
より、
。一方、
は
-数列である。
基本事項3を用いると、。一方、
を実現する
-数列は
に関する
-数列でもある。
確定させるのはここらへんまでにしておいて、基本事項3により
がわかる。あとはの場合に数学的帰納法で証明する。
で成立すると仮定すると、基本事項3により
との場合も成立することがわかる。 Q.E.D.
実はが大きくなると
はもっと小さくなります。実際、Erdős-Turánは同じ論文で以下の定理2を証明しています。
準備となる命題の証明から始めましょう。
証明. に関する数学的帰納法で証明する。
のときは
より成立。
で成立すると仮定する。
に関する項数
の
-数列
が存在したと仮定する。帰納法の仮定と基本事項3より
であるから、は必ず
を含む必要がある。基本事項1によって
は
も含むとしてよい。すると、
は
を含むことはできない。よって、
を構成する数は
のようになっている。ここで、である。すると、
は
に関する
-数列なので
であり、基本事項2によって、も
に関する
-数列なので
を得る。つまり、となるので矛盾する。従って、
が示された。 Q.E.D.
定理2の証明
に対して
とおくと、
は
と表すことができる。ここで、を満たし、
は整数で、
は
から
の整数。例えば
であれば
すると、命題と基本事項3により
を得る。とおけば
であり、
とすれば
なので
と評価できる。最後の数はより大きい数であるが、
のとき
で
に収束する。よって、主張が成立する。 Q.E.D.
彼らは論文でではなく
という記号を用いているのですが、
It is probable that
.
と述べています。
長さの等差数列の存在したいという声が聴こえてきます。
これがErdős-Turánの予想であり、その後の大きな物語を生むことになるのです。
Wikipediaより画像Erdos_budapest_fall_1992_(cropped).jpg, 作者Kmhkmhを二次利用しています。
*1:この言い回しはそのような項数の
に関する
-数列が存在するということ。以下同様。