Pillaiは「の素因数をで割った余りはであると言えるだろうか?」という疑問を持ちました。
についてはの任意の素因数がを満たしていることがわかります。ところが、
に至って、という例が現れます。つまり、Pillaiの疑問は否定的であることがわかりました。そうして、Pillai素数という概念が定義されています:
定義 ある自然数が存在して、を割り切り、が成り立つような素数のことをPillai素数という。
とはPillai素数ですが、最小のPillai素数はです(Chowlaが指摘)。
で、となっています。最初の100個のPillai素数は次のようになっています:
この記事では次の定理を証明しましょう。
定理 (Erdős, G. E. Hardy-Subbarao) Pillai素数は無数に存在する。
証明. 任意の正整数に対して、の最大の素因数をとする。このとき、はPillai素数となることを証明する。もし、
であればはPillai素数なので、
が成り立つと仮定する。このとき、正の偶数が存在して
と書ける。を分割して考えることにより
なので、Wilsonの定理との定義より
が成り立つ。このとき、
が成り立てばはPillai素数であることがわかる。そこで、
と仮定しよう。このとき、正の偶数が存在して
と書ける。を代入すると
より、すなわちが得られる。これより、となって
これは、が素数であることに矛盾する。
以上でがPillai素数であることが示されたが、明らかになので、Pillai素数が無数に存在することが従う。 Q.E.D.