Szemerédiの定理の証明は既に当ブログで解説済みです:
しかしながら、Szemerédiの定理の証明は異なる分野の数学を用いて複数得られており、その中でも組合せ論的議論により証明したSzemerédiによるオリジナル証明に興味がありました。
その証明が簡単でないことを色々なところで目にしますが、Terence Taoが"Szemerédi's proof of Szemerédi's theorem"という、Szemerédiによるオリジナル証明を簡略化できるところは簡略化してまとめたunpublished noteを書いています。原論文ではなくこちらの方を勉強して当ブログに日本語で記録しておこうと思います(複数記事使います)。
記号設定
.
for . ただし、便宜的にとする。
に対して、-APをで
と表すことのできる組として定義する(ad hoc)。つまり、必ず単調増加に並べて考える。のときは, かつのときはと書く。
-AP: に対して、をと定義する。となっている。
-AP: が集合に含まれるとはが成り立つときにいう。
がAPであるとは、或るが存在して-APであるときにいう(ad hoc)。このとき、をの長さという。
AP全体のなす集合をとする。
集合とに対して、.
は或る絶対定数に対してが成り立つことの略記法。がパラメータ依存するときは、例えばに依存するならば、のように表す。
集合に対して、はの特性関数。つまり、ならで、であれば
Szemerédiの定理
次の定理を証明するのが目的である。
がを満たせば、は任意のに対して-APを含む。
の無限版Szemerédiの定理と同値であることを証明しておく。
証明. 上漸近密度の不等式関係から、上記定理から無限版Szemerédiの定理が従う。無限版Szemerédiの定理が成り立つと仮定すると既に証明しているように有限版Szemerédiの定理(上記記事参照)が成り立つ。 をを満たすような 集合とする。 正整数を任意にとる。 このとき、Banach上漸近密度の定義より
を満たすような整数が存在する。
が成り立つようなをとる。 すると、
が成り立つので、有限版Szemerédiの定理よりは長さの等差数列を含む。 このとき、も長さの等差数列を含む。 Q.E.D.