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数、特に整数に関する記事。

109:スーパープライム

109

109と言えば「地球と太陽の直径比の整数部分」を思い浮かべると思いますが、スーパープライムでもあります("super-prime"の他に"prime-prime"や"prime-index-prime"も用いられます)。スーパープライムとは「素数番目の素数」のことを言います。109は29番目の素数であり、29も素数なので、109がスーパープライムであることがわかります。n番目のスーパープライムをq_n:=p_{p_n}で表します(p_nn番目の素数)。また、x以下のスーパープライムの個数を\pi_{\pi}(x) := \pi (\pi (x))とします。

スーパープライム最初の100個

q_1=3, q_2=5, q_3=11, q_4=17, q_5=31, q_6=41, q_7=59, q_8=67, q_9=83,
q_{10}=109, q_{11}=127, q_{12}=157, q_{13}=179, q_{14}=191, q_{15}=211, q_{15}=241,
q_{17}=277, q_{18}=283, q_{19}=331, q_{20}=353, q_{21}=367, q_{22}=401, q_{23}=431,
q_{24}=461, q_{25}=509, q_{26}=547, q_{27}=563, q_{28}=587, q_{29}=599, q_{30}=617,
q_{31}=709, q_{32}=739, q_{33}=773, q_{34}=797, q_{35}=859, q_{36}=877, q_{37}=919,
q_{38}=967, q_{39}=991, q_{40}=1031, q_{41}=1063, q_{42}=1087, q_{43}=1153,
q_{44}=1171, q_{45}=1201, q_{46}=1217, q_{47}=1297, q_{48}=1409, q_{49}=1433,
q_{50}=1447, q_{51}=1471, q_{52}=1499, q_{53}=1523, q_{54}=1597, q_{55}=1621,
q_{56}=1669, q_{57}=1723, q_{58}=1741, q_{59}=1787, q_{60}=1823, q_{61}=1847,
q_{62}=1913, q_{63}=2027, q_{64}=2063, q_{65}=2081, q_{66}=2099, q_{67}=2221,
q_{68}=2269, q_{69}=2341, q_{70}=2351, q_{71}=2381, q_{72}=2417, q_{73}=2477,
q_{74}=2549, q_{75}=2609, q_{76}=2647, q_{77}=2683, q_{78}=2719, q_{79}=2749,
q_{80}=2803, q_{81}=2897, q_{82}=2909, q_{83}=3001, q_{84}=3019, q_{85}=3067,
q_{86}=3109, q_{87}=3169, q_{88}=3229, q_{89}=3259, q_{90}=3299, q_{91}=3319,
q_{92}=3407, q_{93}=3469, q_{94}=3517, q_{95}=3559, q_{96}=3593, q_{97}=3637,
q_{98}=3733, q_{99}=3761, q_{100}=3911

先行研究

スーパープライムについては

K. A. Broughan, A. R. Barnett, On the Subsequence of Primes Having Prime Subscripts, Journal of Integer Sequences 12 (2009), article 09.2.3.

で詳しく調べられています。この記事ではスーパープライムに関するいくつかの基本的な結果をピックアップして紹介します。

スーパープライムに関する素数定理

素数定理は当ブログではまだ証明していませんが*1、素数定理を仮定してスーパープライムに関する素数定理を導きます。素数定理に関しては
integers.hatenablog.com
をご覧ください。

定理 \ \ \ \displaystyle \pi_{\pi}(x) \sim \frac{x}{\log^2x} \ (x \to \infty).

証明. 素数定理より

\displaystyle \pi_{\pi} (x) \sim \frac{\pi (x)}{\log \pi (x)} \sim \frac{x}{\log x \log \pi (x)} -①

を得る。また、再び素数定理より

\displaystyle \log \pi (x) = \log \left( \frac{x}{\log x}(1+o(1)) \right) = \log x -\log \log x + \log (1+o(1))

なので、

\displaystyle \frac{\log \pi (x)}{\log x}=1-\frac{\log \log x}{\log x} +o(1) \to 1 \ (x \to \infty ) -②

を得る。①、②を組み合わせて定理を得る。 Q.E.D.

q_nに関する素数定理は以下のようになります:

定理 \ \ \ q_n \sim n\log^2 n \ (n \to \infty).

証明. \pi_{\pi}(q_n) =nなので、上記定理より、

\displaystyle \frac{n\log^2 q_n}{q_n} = 1+o(1)

を得る。両辺の自然対数をとって、\log q_nで両辺を割ることにより

\displaystyle \lim_{n \to \infty}\left( \frac{\log n}{\log q_n} + \frac{\log \log^2 q_n}{\log q_n} \right) =1.

第二項の極限値は0なので、\log n \sim \log q_nを得る。こうして、

\displaystyle \frac{n\log^2n}{q_n} = \frac{n\log^2 q_n}{q_n}\cdot \frac{\log^2n}{\log^2q_n} \to 1 \ (n \to \infty).

Q.E.D.

一方、次の定理は既に証明しているChebyshevの定理
integers.hatenablog.com

を用いて上記証明の真似をすれば証明できます。

定理 \ \ \ \displaystyle \pi_{\pi}(x) \asymp \frac{x}{\log^2x} \ (x \to \infty), \ q_n \asymp n\log^2n \ (n \to \infty).

この定理から証明できる二つの事実を以下で証明します。

グッドスーパープライムの無限性

良素数を真似て"good super prime"を定義できます:

定義 \ q_ngood super primeであるとは、
 q_n^2 > q_{n-i}q_{n+i}
が任意の 0 < i < nに対して成り立つときにいう。

integers.hatenablog.com
で紹介したPomeranceの定理を用いることにより次が分かる:

定理 Good super primesは無数に存在する。

証明. \log q_n = O(\log^2 n)なので、Pomeranceの定理においてa_n := \log q_nとすればよい。 Q.E.D.

スーパープライムの逆数和は収束する

素数の逆和が発散することとは対照的に、次の定理が成立します:

定理 \ \ \ \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{q_n} < +\infty.

証明. \{a_n\}_{n=3}^{\infty}nがスーパープライムのときはa_n=1、それ以外のときはa_n=0として定義する。このとき、\varphi (x) = 1/xに対するAbelの総和法
integers.hatenablog.com
により、

\displaystyle \sum_{n=1}^{[ x ]}\frac{1}{q_n} = \frac{\pi_{\pi}(x)}{x} + \int_3^x \frac{\pi_{\pi}(t)}{t^2}dt

を得る。\displaystyle \pi_{\pi} (x) = O\left( \frac{x}{\log^2x} \right)より右辺は有界であることがわかる。これは不定積分

\displaystyle \int \frac{dt}{t\log^2 t} = -\frac{1}{\log x} + \text{積分定数}.

に注意することにより分かる。 Q.E.D.

この事実について広島市の高校教諭である才野瀬一郎氏が独自研究した記事を読むことができます:
https://www.chart.co.jp/subject/sugaku/suken_tsushin/78/78-9.pdf#search='%E7%B4%A0%E6%95%B0%E3%81%AE%E9%80%86%E6%95%B0%E5%92%8C'

証明は本質的に同じですが、才野瀬氏の証明がq_n \geq Cn\log^2n(Cは或る正定数)を用いているの対し、上記証明はAbelの総和法を使って書き下したために\pi_{\pi} (x) = O(x/\log^2x)を用いているという見え方の若干の違いがあります。

*1:近い将来、二通りの証明を紹介する予定です。 追記:書きました。 integers.hatenablog.com integers.hatenablog.com