この記事は日曜数学 Advent Calendar 2017 - Adventarの14日目の記事です。9日目はasangi_a4acさんによる
でした。
クリスマスが待ち遠しいですね。Advent Calendarの日程も半分を超えていますが、クリスマスまでもう少しの辛抱です。
今日はRamanujanの論文を一つ読んでみようと思います。選んだ論文は
S. Ramanujan, On the number of divisors of a number, Journal of the Indian Mathematical Society, VII, 1915, 131-133.
です。
論文は5つのセクションからなり、正整数の正の約数の個数の上からの評価を与える公式を幾つか示すことが目的の論文となっています。約数は正の約数のみを考えることにしましょう。
1. 自明な評価
がの約数であれば、必ずその共役な約数であってなるものが存在する。これはからまでのの約数の個数はからまでのの約数の個数に等しいことを示している。であればからの中にの約数でない整数があることに注意すると、
がわかる。
3. の素因数の個数のみが判明している場合
の素因数の個数が個であるとする。を番目の素数とする。の素因数分解がであれば、とするとが成り立つ。§2の結果より
が成り立つので、結局
と評価できる。
4. について何も知らない場合
を非負整数としてと表す。また、を任意にとって、をで定める。このとき、
であれば
なので、を以下の素数の個数とすれば
が得られる。ここで、の関数として増減表でも書いてみると
がわかるので(で最大値をとる)、
を得る。なので、
なので、であればが成り立ち*1、
なる評価が得られる。
5. について何も知らない場合(における漸近不等式)
とおき、における漸近挙動を考える。自明にであることに注意する。
が成り立つので、§4の不等式より
が得られる。このセクションの結果をまとめると
の結果と比較してみてください。
日曜数学 Advent Calendar 2017 15日目の記事はToshiki Takahashiさんによる「脳の長距離伸長戦略」です。
*1:はRamanujanが選んだ数値。