以前、素数の密度がであることを証明しました:
この記事では友愛数の密度がであることのErdősによる証明を紹介します。
が友愛数であるとは、
が成り立つことでした。ここで、
は約数総和関数。
密度について
を正整数全体のなす集合とし、
を部分集合とします。極限
が存在するとき、その極限値をの(自然数全体における漸近)密度と言い、
と表すことにします。また、上極限
は常に存在しますが、これをの(自然数全体における)上漸近密度と言い、
と表すことにします。
以下、証明中で簡単な評価
を使います。
仮定する知識
この記事では、密度に関する次の二つの事実を証明せずに認めて使うことにします。
補題2より、任意のに対して、
は
を満たすことがわかります。つまり、の場合を考えることによって、完全数全体の密度も
であることが従います。
準備
証明. まず、中国式剰余定理によって
は
と同値であることに注意する。
とおく。と
を任意にとって、
を
を満たすような素数全体からなる集合とする。このとき、Dirichletの算術級数定理より、
が成り立つ*1。従って、補題1より
である。を或る
が存在して
で割り切れるような正整数全体のなす集合とする。
に対して、
以下の
の倍数の個数は
個なので、
と評価でき、
が成り立つ。さて、とすると、
(
で
は相異なる
の元,
は
と素な正整数)と書けるので、
が成り立つ。よって、
がわかったので、①、②より
を得る。は固定で
は任意であるから、
でなければならない。 Q.E.D.
証明. まず、
と変形でき、であれば
なので、
と評価できる。さて、なる整数
に対して、
であるためのの条件を考える。この不等式が成り立つならば
となるが、
なので、
が成り立つ。すなわち、
である。よって、
であるようにを取ればよい。 Q.E.D.
友愛数密度零定理の証明
集合を
とし、を示す(これを定理の正確な主張と考える)。
を後で
とするパラメータとし、
は
を満たすようにとり、
とする(補題4)。
とする(は素数)。すると、補題3より
である。とし、
とする。補題4より
とする。
より、任意の素数
に対して
が成り立つ。よって、を
の正の約数とすると、
が成り立つ。つまり、
であり、より
なので、
である。より
であり、より
もう一度、を使って、最終的に
が得られた。補題2の記号を用いれば
となり、③、④、補題2より
が示された。とすると、
であり、
となるので、
が従う。 Q.E.D.
*1:単なる無限性ではなく、逆数和の発散性まで証明していたことに注意。