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数、特に整数に関する記事。

もしも60が奇数だったら | 今週のお題「私のタラレバ」

60は偶数である」という数学の定理を証明してみたいと思います。

605次交代群の位数である。

\displaystyle 60 = \frac{5!}{2}

5次交代群A_5の位数です。A_5は非可換単純群なので、可解群ではありません。

Feit–Thompsonの定理

Feit–Thompsonの定理 任意の奇数位数の有限群は可解群である。

これは大定理で、Thompsonはコール賞、フィールズ賞、アーベル賞を受賞しています*1

もしも60が奇数だったら

もしも60が奇数だったら、Feit–Thompsonの定理によってA_5は可解群となってしまいます。
これは「605次交代群の位数である。」の節で述べた事実に矛盾します。従って、次の定理が証明されました:

定理 60は偶数である。

今週のお題「私のタラレバ」

はてなブログを始めて一年以上経ちますが、はてなブログには「今週のお題」というイベントがあることをさっき知りました。今週のお題は「私のタラレバ」ということでしたので、「もしも60が奇数だったら」というお話を書いてみましたが、すぐに矛盾してしまいました。

*1:学部三年生の群論の試験監督TAをしていたら、この問題が出題されていました。解けた人はいなかったようです。