パワフル数に関する記事
で紹介したMcDanielの定理
の証明を紹介します。
を平方数でないような整数とし、正整数
に対する方程式
およびPell方程式
を考える。解といったら、整数解を表すものとする。
証明. Q.E.D.
とおくと、
であり、
である。このことと、Pell方程式が無数に解を持つことから、①は一つ解があれば無数に解を持つことがわかる。
が奇数
が偶数
であるときにいう。
証明. とする。このとき、
なので、は②の解である。
は偶数であるから、
は奇数である。
で定まるは②の解であり、
であるからこれらは全て相異なる解である。具体的に
と書ける。これより、が奇数で
が偶数であることがわかる。
とおけば補題1より
は①の解であるが、これがMcDaniel型であるような
が無数に存在することを示す。
であり、
である。という仮定より、方程式
は整数解
を無数に持つ。
及び
はそれぞれある合同類で定まるので、
が
で割り切れるような
が無数に存在することがわかる。つまり、
となるような
が無数に存在し、そのような
について
はMcDaniel型である。 Q.E.D.
証明. とする。このとき、
かつ
なので、。 Q.E.D.
証明. の場合
とする。このとき、は平方数ではない奇数で、
が成り立つ。
とすると
で、は奇数なので
。
とすると、
及び
より
。よって、命題1から①は無数にMcDaniel型の解を持つことがわかるが、
とすると
より
であるから、補題2よりそれらの解は全て互いに素である。
の場合
とする。このとき、が成り立ち、
。よって、命題1及び補題2より①は互いに素なMcDaniel型の解を無数に持つ。
の場合
とする。このとき、が成り立ち、
。よって、命題1及び補題2より①は互いに素なMcDaniel型の解を無数に持つ。
の場合
とする。このとき、は平方数ではない奇数で、
が成り立つ。
とすると、
。
は自明。よって、命題1及び補題2より①は互いに素なMcDaniel型の解を無数に持つ。
の場合
とする。このとき、は平方数ではない奇数で、
が成り立つ。
とすると
なので、
。
は自明。よって、命題1及び補題2より①は互いに素なMcDaniel型の解を無数に持つ。 Q.E.D.
定理の証明
正の整数に対して互いに素なパワフル数の差として表す表し方が無数に存在することを示せば十分である。
のとき
命題2によって無数に存在する①の互いに素なMcDaniel型の解をとする。このとき、
とすれば
であり、
であるから
と
は互いに素なパワフル数である。つまり、
を互いに素なパワフル数の差として表す表し方が無数に存在する。
のとき
とおく。
である。命題2の証明における
の場合において、
として考える。すなわち、
とすると、方程式は互いに素なMcDaniel型の解を無数に持つ。そのような解
に対して、
とおく。このとき、
が成り立つので、
が互いに素なパワフル数であることを示せばよい。
解の構成より
は偶数なので、
は奇数である。
とすると、
及び
。
であることと、
より、
。以上より、
がわかった(
に注意)。
また、
なので、であることから
はパワフル数。このことと、
が互いに素であることから
はそれぞれパワフル数であることがわかる。 Q.E.D.
具体例
冒頭にあげた過去の記事において紹介した
という表示がこの証明法から導出できることを確認しましょう。まず、に対してこの証明法による表示を与えることから始めます(自明な表示は
でした)。
に対しては、
というデータを取れる。このとき、
。一次方程式
はこの場合は
となっており、
の一般解は
。よって、
が一番簡単な場合となる。
より
なので、
を得る。こうして、
に対して、が成り立つ。
の場合は
なので、上記
に対して
を考えると、を得る。
Golombの計算ではの表示が?となっていましたが、
にMcDanielの証明法による表示を具体的に与えるのは大変です。