以前、Ramanujanの不等式
を紹介した際に証明を割愛したLandauの定理
の証明を紹介します。
記号
幾つかの補助的関数を導入して証明する。は実数。
は正の整数。和の
は素数。Landauの記号は
で考える。範囲が空集合であるような和は
と定義する。
相異なる
個の素数の積として表される
以下の正の整数の個数。
個の素数(等しいものがあってもよい)の積として表される
以下の正の整数の個数。
正整数
を
と表す表し方の総数。
は素数で、等しいものがあってもよいし大小の順番も問わない。
証明
証明. まず、
であり、対数法則を用いれば
も同様にわかる。よって、
を得る。 Q.E.D.
証明. に関する帰納法で証明する。
のときは
最後の等号は素数定理に他ならない。
のときに成立すると仮定すると、
と関数 を
に対して導入すれば
ということになる。つまり、
を任意にとると、
が存在して
が成り立つ。ここで、帰納法で示す主張を少し強く変更する。すなわち、ならば常に
となるような定数 の存在を帰納法の仮定に加える。
の存在はChebyshevの定理の証明チェビシェフの定理 - INTEGERSを見ればわかる(この場合は
で存在)。帰納法の仮定のもと、
の場合にも強い主張が成立することを確かめよう。Mertensの第二定理より或る定数
が存在して、
で
が成り立ち、
なる漸近公式が成立する。のとき、補題1より
なので、の存在がわかる(上記変形における
の評価は
で成立)。また、
かつ必要に応じて更に大きく取るとき
となって、①よりの場合も主張が成立することが示された。 Q.E.D.
証明. これは、
と
よりわかる。 Q.E.D.
証明. なので、命題と補題2から従う。 Q.E.D.
Landauの定理のの場合は素数定理なので、以下
とする。
証明. まず、
と上から評価でき、とすれば
と下から評価できる。 なので系1より
これと より、系1から
が成り立つ。 Q.E.D.
が相異なる
個の素数の積であれば
であり、等しいものを含む
個の素数の積の場合は
なので
は
で
と書け、少なくとも2つの
は等しいものの個数なので、
である。つまり、
であり、系2からLandauの定理が導かれる。