と言えば
ですが、「相異なる平方数の和として表すことができない最大の整数」という特徴を持っています。
すなわち、相異なる平方数の和として表すことができない自然数は有限個しか存在せず、それは次の個の整数です:
Lagrangeの四平方の定理は「全ての自然数は四つ以下の平方数の和として表すことができる」というものでしたが、「相異なる」という条件はなかったことに注意してください:ラグランジュの四平方の定理とヤコビの四平方の定理 - INTEGERS
以上の整数が必ず相異なる平方数の和として表すことができることの証明には次の補題を使います:
- 非負整数
が存在して、
に対して
が成り立つ。
- 非負整数
が存在して、
なる任意の整数
が
と書ける。
このとき、以上の任意の整数は数列
の有限個の相異なる項の和として表される(ただし、
のときは
個の和
も含める)。
証明は最後に紹介します。まずは応用しましょう。
証明. とする。
で
が成り立つ。
として補題を適用する。条件2. を満たすことは次のように確かめられる(表示法は一意ではないですが、適当に手計算で見つけているため、使う平方数の個数を最小にするなどはしていないです):
証明. これもBertrandの定理によって補題を適用することができるが、証明は既に詳述したため省略する:6より大きい任意の整数は相異なる素数の和として表すことができる - INTEGERS
Q.E.D.
証明. を
番目の奇素数とする。
として補題を適用する。仮定1. はBertrandの仮説よりわかる。仮定2. は
よりわかる。 Q.E.D.
証明. を
から数えて
番目の素数とする:
として補題を適用する。仮定1. はBertrandの仮説よりわかる。仮定2. は
よりわかる。 Q.E.D.
Grothendieck素数として有名なですが、「相異なる
以上の素数の和として表すことのできない最大の整数」という特徴を持ちます:57:グロタンディーク素数 - INTEGERS
証明. を
から数えて
番目の素数とする:
として補題を適用する。仮定1. はBertrandの仮説よりわかる。仮定2. は
よりわかる。 Q.E.D.
補題の証明
直接証明することもできますが、Brownによるより適用範囲の広い命題を示します。
- 非負整数
が存在して、
に対して
が成り立つ。
- 非負整数
が存在して、
なる任意の整数
が
と書ける。
この時、任意のに対して、次が成り立つ:
なる任意の整数
は
と書ける。ここで、記号
は
ならば和は
であると約束する。
特に、以上の任意の整数は数列
の有限個の相異なる項の和として表される(ただし、
の時は
個の和
のも含める)。
証明. のときは仮定2. より成立する。
に関する数学的帰納法で証明する。
のときは正しいと仮定しよう。このとき、
を満たす任意のが
と書けることを示せばよい。仮定1. より
なので、帰納法の仮定より
と書ける。これで証明は完了する。 Q.E.D.
補題の仮定1. より命題の仮定1. が満たされることを証明する。 のときは自明に成り立つ。
に関する数学的帰納法で証明する。
のときは正しいと仮定しよう。このとき、
とのときも仮定1. が満たされることが示された。 補題の証明終わり.
命題は数列の半完全性に関する十分条件を与えています。同じBrownさんによる結果数列の完全性に関するBrownの判定法 - INTEGERSと比較してみてください。
次はGrahamの定理の証明に用いるために、一般の冪乗数の場合に一般化します。