Millsの素数表現関数の論文が1947年に出て、それはInghamによる深い結果を用いるものでした:
これを受けて、Inghamの結果を使う代わりに、よりお手軽なBertrandの仮説を使うだけでも同じようなことができるよとWrightが1951年に報告しました。
証明. Bertrandの仮説より、またはとして*1、
を満たすような素数列 が存在する*2。これを固定して、とおく。ここで、は
と定義する。 すると、
が成り立つので、 が存在する。定理の主張通りに を定義すれば、任意のに対して
が成り立つので、
となって、 は素数となる。 Q.E.D.
本日出たArXivの論文について
定理のとしては少なくともの選択の仕方だけはあることが分かります*3。Wrightは論文中にの例として
を上げており、 であり、は約5000桁であると書いています。推測ですが、 であることから、からスタートした後は 以下の最大の素数をと定義していると思われます。Millsの定数が最小のものを取っていって定義されていたのとは対照的です。
ところで、本日"Wright's Fourth Prime"というタイトルのプレプリントが出て、Wrightの4番目の素数を求めたと主張しています。
ざっと眺めてみたのですが、まず、「Wrightは例としてを与えた。」とありますが、これは良くない表現だと思います。Wrightの論文にはちゃんと「」があります。
このに対するは合成数であるので、より大きい最初の素数(4932桁)をコンピュータで計算しています。私の考えではWrightの4番目の素数は以下の最大の素数なので、彼らの求めた素数はWrightの4番目の素数とは呼べないのではないかと思います*4。この発見した素数を元に
を求め、このに対しては が素数になり、はWrightの素数に一致していると言っています。しかし、このはWrightのの真の近似値ではないでしょう*5。