本日の数遊び
以下の素数は個あります:
やは素数ではありませんのでご注意を。このとき、という数に着目して、以下の素数を足し合わせると
となっています。
実は、はこのような性質を持つ最大の自然数なのです。本日は次の定理を証明することにいたしましょう。
実数に対して、を以下の素数の個数、を以下の素数の総和とします。
が成り立つような は に限る。
定理の証明(の一例)
なので、素数定理より が十分大きいに対して成立しないことは即座にわかる。ただし、定理を証明するにはeffectiveな評価をする必要があるため、以下にその一例を示す。
素数定理のeffective版として、次の定理を利用する(証明は当ブログでは残念ながら紹介できない)。
しばらくは、とする*1。以前も紹介したように
が成り立つので、Rosser-Schoenfeldより
と評価できる。以上以下の整数の和は であるが、に対して
が成り立つ。これに注意して、アーベルの総和法を適用すると
を得る。ここで更に、例えば
が成り立つことに注意すると、
となり、
が証明された。すると、であれば*2
と下から押さえることができるが、
なので、が成り立つならば でなければならないことが示された。
後は以下の表を見れば定理の証明が完了する。ただし、は番目の素数までの素数の総和を表す。
Q.E.D.
追記
記事を書いた後に調べてみたところ、この問題はGolombによって雑誌Amer. Math. Month. に提出されており、1991年にMarcin E. Kuczmaという人の解答が掲載されていました。私はある程度精密な①を示してについては以下を調べる形にまとめましたが、Marcin E. Kuczma氏の解答はについてのより自明な評価しか用いていないにも関わらず以下を調べればよいという形にまとまっています(Rosser-Schoenfeldを使うのは同じ)。以下にその解答を記述します。
Marcin E. Kuczmaによる証明. 問題は なるを求めることと同値である。番目の素数を とすると明らかに なので、帰納法によって がわかる。Rosser-Schoenfeldの定理*3のうち、
を使うと、
と数値計算を合わせて、であれば が成り立つことがわかる。よって、であれば*4 が成り立つ。なので、であれば
が示された。よって、後はについて表を確認すればよい。 Q.E.D.